「世界最高のレストラン」は何がスゴいのか コペンハーゲンが誇る「NOMA」の秘密

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ポスト「エル・ブリ」として脚光を浴びるようになったのが、コペンハーゲンの「NOMA(ノーマ)」。2010年以降、計4回世界一に輝いている。NOMAが現れるまで、北欧は料理業界ではまったく注目されていなかったが、シェフのレネ・レゼピらは、地域に根付いた質の高い食材、サステナビリティなどのマニフェストを掲げ、世界のトップに躍り出た。

2013年には米国『タイム』誌が「ノマノミクス」という言葉を生み出した。この記事によれば、NOMAなどのニューノルディック料理の誕生により、コペンハーゲンなどデンマークの主要都市を訪れるツーリスト数は11%も増加したというのだ。NOMAは原則としてスカンジナビアの食材しか使用しないので、農家などにも恩恵がもたらされた。

柑橘類の代用は蟻酸で

2016年8月、NOMAを訪れた。3度目の訪問だ。今回の航空券は羽田発のカタール航空で往復総額8万4140円。8月のピーク時でもこの価格だから安くなったものである。今回は、15人の友人がNOMAの個室に現地集合した。

NOMAは、大人のアミューズメントパークである。小気味よいテンポで提供される計18皿の料理。発酵させた生地にグリーンピースを載せ、タイムの花を散らした料理を見たとき、隣席のミラノ在住の料理人がうなった。豆をむく膨大な手間を考えたのだろう。NOMAには世界20カ国以上から70人ものスタッフが集まるが、半数が無給の研修生だ。

世界一なのだからおいしいかと聞かれると、もちろん料理のクオリティは高い。料理にアリを使うことで話題を呼んでいるが、それも柑橘(かんきつ)類の取れない北欧で蟻酸(ぎさん)を活用すると考えれば合理的な選択だ。世界一と評価されるのは料理の味のみならず、レストランが目指す方向性や世界観、料理業界に与えたインパクトやデンマークにもたらした経済効果など、総合的なものといえるだろう。

NOMAは17年2月に一度閉店し、近隣に移転する予定だ。また、4〜5月にはメキシコに限定出店する。レストランが畑を耕し、夏は野菜料理のみを提供するなど、さらにラジカルな方向へと突き進みそうなNOMA。これからも目が離せない存在だ。

橋賀 秀紀 トラベルジャーナリスト

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はしが・ひでき / Hideki Hashiga

東京都出身の50代。早稲田大学卒業。「3日休めれば海外」というルールを定め、ほぼ月1回の頻度で海外旅行に出かける。訪問国は130カ国。共著に『エアライン戦争』(宝島社)など。『週刊東洋経済』で「サラリーマン弾丸紀行」を連載した。Yahoo!ニュース エキスパート。記事の内容についてのお問い合わせ・取材の依頼などについてはこちらまで。

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