東大の「女子限定」で家賃3万円補助はアリ? 男子への性差別にはならないのか
「 憲法の『法の下の平等』とは、機械的な平等を意味するわけではありません。
例えば、機械的に平等に取り扱うことを徹底すると、高齢者や障がい者に対して、電車・バス利用を無料にすることや優先座席を設けることもできなくなります。
しかし、そんなことをすれば、いわば、『弱者に冷たい世の中』になってしまい、結局は憲法の最高の理念である、『個人ひとりひとりを尊重すること』ができなくなってしまいます。ですので、憲法の『法の下の平等』は、機械的・絶対的な平等ではなく、『相対的平等』であるとされています」
相対的平等とはどういうことなのか。
「『相対的平等』とはこういうことです。もともとの人それぞれの違い(性別、能力、年齢、財産、職業、人間関係など)を前提にして、同じ条件のもとではみな同じ取扱いを受けます。それに対して、条件に違いがある場合は、社会通念からみて合理的である限り、異なった取扱いをすることは許されます。
例えば、労働条件について『産前産後休暇』など女子を優遇すること、未成年者に飲酒・喫煙を禁じること、所得の差に応じて税率・税額に差を設けることなどは、憲法に反しないとされています」
「社会全体における男女の機会均等がまだ道半ば」
「一般に東京大学の入学試験は難関と言われていますが、必要な成績さえとれば、男子でも女子でも区別なく入学できます。とすると、別に、東京大学に入ることについて、女子に『不利』『カベ』があるとは言えない、という見方もありえます。
しかし、現実に東京大学の男女比が8:2というのは、やはり、女子にとって東京大学へ進学することについて、男子と比べて、色んな面で条件に制約があることを意味していると思います。
それは、大学入試や大学の設備の問題だけではなく、社会全体における男女の機会均等がまだ道半ばであること、また、そのことが女子学生の進学意欲に影響を与えていることなどの色んな要因があります。ですので、大学が女子学生に対する援助措置をすることは、むしろ、女子に対して、機会の平等を回復して合理的な平等を回復するための手段として、憲法には違反しないと考えます。
ただ、大学の政策として、女子学生に家賃補助をするという方法で、狙い通り女子の志願者が増える効果がどれほどあるかという点は、予測の難しい問題です。この点を疑問視する声もありますが、東京大学は効果があると予測してこの方針を採ったものと思われますので、今後どうなるかに注目したいと思います」
事務所名:神戸シーサイド法律事務所
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