「クールジャパン」、いったい何が目標なのか

コンテンツを支援する戦略が見えない!

製作側の意識や事業環境が変化したとしても、まずはきっかけがなければ浮上していくことは難しい。そこで期待されるのが「日本企業の円滑な海外展開を可能とするため、海外事業への投資の呼び水としてリスクマネーを供給することで、漫画やアニメなどのコンテンツ、ファッション、食、伝統工芸品など、日本特有の商材やノウハウを官民一体となって海外に売り込んでいく」いわゆるクールジャパン予算だ。

中でも経済産業省が推進し、映像産業振興機構が2013年から運営しているジャパン・コンテンツ ローカライズ&プロモーション支援助成金(J-LOP)だ。2015年春までに3815件に助成金が出された。その後、地域経済活性化に資する放送コンテンツ等海外展開支援事業費補助金(J-LOP+)として継続されている。

J-LOPは現場から高く評価されている面も多い。日本語から英語への翻訳・吹き替えなどの遅れから海賊版へと流れることが多かったコミックやアニメに対して、国が支援することでローカライズの質・スピードともに向上させることができたからだ。J-LOPは外国語へのローカライズにかかる費用を最大半分まで助成する。

このJ-LOP関連予算を合計すると、これまで使われてきた予算は282億円。2012年のアニメ輸出額が59億円だったことを考えると、目を疑うような金額だが、適切にローカライズされ、海外でのプロモーションが行われていけば、いずれは根付いていく可能性がある。

たとえば2015年分のJ-LOP予算報告によると基金総額は約155億円だったが、このうち約127億円が助成金として振り出されたことになっている。そうとうな金額だが、アニメ輸出が数十億円のケタで輸出増となった以外、ドラマなどの輸出はほとんど増えていない。

昨年ジャパンエキスポ以降、出展を中止

たとえば、2014年に立ち上がったジャパンデイプロジェクトは、放送作家の小山薫堂氏がプロデュースした日本のカルチャーを訴求するPR事業だ。国際的なコンテンツ取引の場で日本カルチャーを発信する日本パビリオンを設けて映画、コミック、アニメを中心としたテレビ番組などに接する機会を増やす目的で立ち上がった。

実質的な活動が開始した2015年は、5月カンヌ映画祭、7月パリ・ジャパンエキスポ、8月台湾漫画博覧会、10月カンヌMIPCOM、10月東京(イベント名未定)の5つのイベント出展が計画・予算化されていた。

ところが7月のジャパンエキスポに出展後、以降のプロモーション計画がキャンセルされた。たとえば、カンヌ映画祭では日本酒や寿司などを振る舞うパーティなどが催され、J-LOPのプロモーション助成金が約1億円搬出(すなわち総予算は2億円程度とみられる)されていたが、継続的な取り組みもなく不可解に解散してしまったため、効果測定さえ行われていない。

言うまでもなくプロモーションに大切なことは、適切な手法・経路で適切な相手に、伝えたい情報を正しく伝えること。そしてそれを継続することだ。その目的を達成するためにどのような手法があるかは議論のあるところだが、アニメだけでなくドラマ輸出にも可能性が見えてきている一方、適切なプロモーションが本当に行われているのだろうか?

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