「クールジャパン」、いったい何が目標なのか コンテンツを支援する戦略が見えない!
話がクールジャパン予算へと遷移したが、実はCoHを日本が勤めたMIPCOM 2016において、クールジャパン予算がふんだんに使われたという印象はまったくなく、少ない予算で最大限の効果を出すように工夫されていた。
関係者の話からすると、ジャパンデイプロジェクトが2015年にカンヌ映画祭で行ったプロモーションは、MIPCOM2016におけるCoHへの取り組みと同等だったそうだ。BEAJは使った予算は総額でも1億円程度(こちらは主に総務省と放送局が搬出している)だったと関係者は語っており、開催地が同じであることを考えれば、上手にやりくりをしている。
無駄を省くことはいいことだが……
一方で、視点を変えれば国際的に注目が集まるタイミングで、日本として大きな投資をしなかったとも言えるだろう。実際、プレミアイベントのレッドカーペットを歩いたのは男性俳優と制作陣のみ。コールドケース主演の吉田羊が体調不良で欠席したこともあり、インタビューを中止する海外プレスがほとんどだった。40年の歴史の中で、初めて主賓国と指名された機会であることを考えれば、別のやり方もあったのではないか
MIPCOMではプロジェクトの座長を務める山田氏も、高級ホテルを避けてリーズナブルな小規模のホテルを選択するなど無駄を徹底して省き、その分CoHイベントを盛り上げようと結束しているように見えた。しかし、無駄を省くことはいいことだが、きちんと成果を出せるだけの予算を割り当てることも、一方では重要なことだろう。MIPCOMを取材し始めて3年になるが、日本コンテンツが世界に羽ばたき、カルチャーとしてグローバルに定着する。そんな未来を描ける戦略的な視点は見えない。
本文中でも述べたように、映像ビジネスの環境が変化し、日本製コンテンツにも勝負ができる環境が生まれてきている。そうした中で、定量的な評価がしにくいプロモーションに関して適切に実施されてきたのか。過去の実績を再度評価しながら見直してみる時期ではないだろうか。
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