「クールジャパン」、いったい何が目標なのか コンテンツを支援する戦略が見えない!
フランス・カンヌで10月17~20日に開催された世界最大のテレビ番組トレードショー「MIPCOM(ミプコム)」。今年はCountry of Honour(主賓国、以下CoH)を日本が担当し、日本コンテンツを売り込むさまざまなイベントを開催した。安倍晋三首相からのビデオメッセージも届けられ、総務省を中心とした省庁と放送局、広告代理店などが「放送コンテンツ海外展開促進機構(BEAJ)」を組織して各種イベントを展開したことはお伝えした。
そのBEAJが取り組んだ“日本コンテンツ”の売り込みで、復活に向けた堅調さが目立つのは前回に紹介したアニメだ。事業環境の変化により、需要が急増している。
また、番組のアイデアや仕掛け、進行台本など“フォーマット”を販売する事業に関しては、もともと日本が強い分野。日本テレビ「マネーの虎」は米英の人気番組としてコンスタントに制作されており、フジテレビのバラエティ番組から1コーナーを切り出した「脳カベ」は単独の番組として多数の国で制作されている。
海外で「SASUKE」が大人気
最も大きな成功を収めたのはTBSの「SASUKE」シリーズ。北米の「American Ninja Warrior」が社会現象とも言える大人気となり、その結果がニュース報道されるなどすっかり米国社会に溶け込み、シーズンを重ねるごとに人気を高めている。それどころかチーム戦など派生番組まで生まれており、そのブームは欧州にも飛び火して英国、フランスで人気番組となった。来年は中東版も制作される。
フォーマット販売は現地制作費に対して一定割合のライセンス料を受け取るビジネスで、緻密で安全性も考慮された日本のテレビ番組フォーマットは今後も伸びる可能性が高い。
しかし、それでも日本のテレビ番組輸出額は先進国の中で最下位争いを展開するどころか、お隣の韓国にも後れを取っている。理由はドラマの外販が伸びないためだ。
日本アニメは復活の兆しがあるとはいえ、2012年に59億円だった売り上げが2014年に117億円まで伸びたにすぎない。対して韓国はアニメには強くないものの、ドラマ輸出で2014年には300億円を突破している。コンテンツ輸出を活性化するには、日本のドラマ輸出も増やさなければならない。
では日本のドラマは海外で“売れる”コンテンツになるのだろうか?
無料会員登録はこちら
ログインはこちら