【三淵啓自氏・講演】仮想空間「セカンドライフ」におけるコミュニティマーケティングの新たな可能性(その1) セカンドライフ成功のファクター4つのポイント 前編

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●成功のファクター2 クリエイターにある著作権

 2つめがクリエイターのためのメタバースであったことです。メタバースとは3次元空間のある仮想世界のことで、アバターが存在し、アバターを介して中の世界を探索できる、活動できるというものです。セカンドライフの何がクリエイターのためかというと、著作権がクリエイターに帰存しているということです。
 例えば、ソニーや任天堂のゲームの中にあるキャラクターなどの著作権はすべて提供会社にあるので、クリエイターと言えどもゲームの映像を勝手に使ったりしたら著作権侵害で訴えられます。
 ところが、セカンドライフではクリエイターが作ったものはクリエイター自身に著作権があるのです。

 メタバースにはコードと呼ばれる部分があり、コードというプログラムの中に埋めこむことで、空を飛んだり、空中でものを作ったりというようなリアルの世界でできないことが可能になります。このコードの作り方が良くできていたら、クリエイターが作ったものに値札をつけるだけで売れることがある。クリエイターとコンシューマーが直接つながるのです。
 ウェブでも同じだという意見もありますが、ウェブではものを売るためのウェブサイトやサーバー、ECサイトが必要で、コストと時間がかかります。
 その点、セカンドライフでは、作りたい人がものを作り、値札をつけて置いておけば、欲しい人が買ってくれて商品になる。これまでの流通の形態も変わってくると言えるでしょう。

 デジタルコンテンツというと3次元のオブジェクトに目がいきがちですが、実際には情報、データが重要です。オブジェクトの中には音楽や動画など、どんな情報でも入れることが可能です。製作者の名前はコードによって絶対に消せないようになっています。
 デジタルは特にコピーや改ざんがされやすい世界で、著作権を侵害、流用されることが多かったのですが、セカンドライフの中ではそれが難しい。誰が作ったものかわかるからです。まねをしてもわかってしまいます。あまりにもひどい場合には訴訟もでき、悪質な場合の対処もしやすく、クリエイターにはありがたい世界であると思います。
 製作者の設定は変えられないという基本的なコード構造になっているため、自分ですべてオブジェクトの管理ができ、デジタルコンテンツの流通に関してもメタバースの世界はウェブよりも管理しやすいのではないかという話もあります。

 また、セカンドライフには島というものがあります。これはシミュレーター、シムとも呼ばれていて、256メートル×256メートルの2万坪位の敷地です。
 島1つの値段は日本円にして約20万円。固定資産税として月々約3万円のお金がかかりますが、買った人が自由に運営できる方針になっています。
 時間設定をいつも夕方にしたり、逆に昼間にしたり、地形も山にしたり、海の底にすることもできる。天候も自由に変えられます。
 それから島の運営上、PG、マチュア、アダルトというレーティングを自分で決めて、そのレーティングにのっとって運営できる仕組みになっています。住民はその中でいろいろなコンテンツを作ったり、イベントをしたりしているのです。

※1)セカンドライフ:リンデンラボ社が運営するインターネット上の3次元の仮想世界
※2)メタバース:インターネット上の3次元の仮想空間
※3)アバター:インターネットの仮想空間におけるユーザーの分身
その2に続く、全5回)
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