――それがビジネス社会にも影響していますか?
ヴィリャさん:仏教徒には「恩恵」「恩返し」という気持ちが強いです。両親、先生に対する「恩」が強い。ビジネス界でも損得だけではなく、長期的な付き合い、人間関係を重視します。信頼関係と人の付き合いが大切なのです。
――どうすれば日本人が信頼関係を結べますか?
ヴィリャさん:日本人は勉強や視察に時間をかけることが多いです。明確な投資があれば話が進みやすいですが、いつまでも調査ばかりでは終わりが見えないので進まなくなります。
――日本人は慎重になりすぎますね。
ヴィリャさん:慎重なのはいい面もあるのですけどね。残念なことに詐欺事件なども中にはありますので、そこだけは注意してきちんと調べるように、大使館でも注意しています。カンボジア人は優しいと言っても、ビジネスの話になればどこの国でも性格が変わってしまいます。
生活のいたるところで「恩返し」
――話を戻しますが、結婚後、どうして女性の家族と一緒に住むのですか?
ヴィリャさん:女性を大切にする文化があるのです。「リーダー」という言葉は「メー」と言いますが、それは「雌」という意味なのです。財布は女性が握って家の財政は女性が管理します。
もう昔の話になりますが、結婚するときには新郎はお嫁さんの家の世話をしなければいけなかったのです。一所懸命尽くしても、不満があったら君はいらないといって放り出されてしまうことがあったほどです。今でも結納金なども多いし、女性の家族と住むのは当たり前です。
家族を大切にすることと、仕事が関連してきますが、カンボジア人はおカネや会社のためではなく、家族のために働くのです。家族との時間が大切なので、5時半ぐらいで仕事は終わります。家族を犠牲にしてまで仕事に没頭することを期待してはいけなくて、家族との時間がとれないと辞めてしまいます。縫製で働く女性は100ドルぐらいしか収入がなくても、その中から仕送りして、祭りのたびに里帰りするのです。
――お祭りが重要なのですね。
ヴィリャさん:大きな休みはお正月(4月)、お盆(9月〜10月)、その後は水祭り(ボートレースフェスティバル)です。ボートレースフェスティバルはプノンペンが最大で、3日間お休みになります。全国からボートが集まって、そのときにはプノンペンの人口が倍になるぐらい人が集まります。
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