「トランプ化した米国」を理解するための6冊 大国はなぜ分裂してしまったのか

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「最後に、ジュディスは右翼ポピュリズムに対しても驚くほど温和な態度を示している。トランプや欧州の右翼ポピュリストは、汚いポピュリストであってもファシストではないと彼は考える。独裁主義者的な気質を持った者でさえ民主的制度に従い、ドイツやイタリアのファシズムの中心であった領土的野心は持っていないと主張する。ジュディスはまた、トランプは元イタリア首相でおどけたメディア王のシルヴィオ・ベルルスコーニに似ていると論じている」

米国に潜む「カースト制度」

『WHITE TRASH: The 400-Year Untold History of Class in America』(未訳)ナンシー・アイゼンバーグ著(ヴァイキング)

トランプは(今回の選挙で)米国の富裕層と労働者階級、どちらからも支持を得た。しかしこの説得力のある本には、弱者や権力を持たない者、汚名をきせられた者が単に登場するだけでなく、社会の中心や全体にいるという米国史上珍しい歴史が描かれている。この本は、徹底した個人主義と「丘の上の町」(キリスト教徒の理想社会)という米国の通念の狭間に潜む解決困難なカースト制度の分析である。

アイゼンバーグは経済分析も怠らない。奴隷を持つ大農園主から、今日の銀行や税政策といった米国経済の中心的原動力が、どのように組織としてワーキングプアを傷付けてきたかを書き記す。

「こういう人々が群衆の中でどのように存在していたのか不思議である」と彼女は、自身の本の調査対象について書いている。アイゼンバーグが出した答えのひとつは、ニューディールからオバマケアに至るまで、「貧しい人々の状況を改善する試みが起こった時に発生する反動」だという。彼女は「政府の支援はアメリカンドリームを壊していると言われる」と書き、またこう付け加える。「ちょっと待て。一体誰のアメリカンドリームを壊しているのか?」

アイゼンバーグはまるで今回の選挙について語っているかのように、こうも書いている。「選挙戦を絢爛豪華なサーカスに変えてしまうと、いつだって踊る熊が選挙に勝つ可能性があるのだ」

(C)2016 The New York Times News Services
 

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