「トランプ化した米国」を理解するための6冊 大国はなぜ分裂してしまったのか
『LISTEN, LIBERAL: Or, What Ever Happened to the Party of the People?』(未訳)、トーマス・フランク著(メトロポリタンブックス/ヘンリー・ホルト)
4月のニューヨーク・タイムズの書評で、ビバリー・ゲイジはこう書いた。「民主党は最近、入り混じった感情を抱えているはずだ。トランプ大統領が誕生するかもしれないという考えは、米国がファシストへ傾くことや、街中で騒動が起こる可能性に対する懸念を急激に高めた。同時に、多くのリベラル主義者は民主党が分裂するのを見て冷酷にも満足感を表した。この国にどんなおそろしい運命が待ち受けていようとも、それは彼らのせいで、私たちのせいではないというのが考えだ。民主党こそが、白人労働者階級の米国に対する不満の根拠となる偏見や大規模な憤りを扇動しており、今この旋風を沈めなければいけない。
この著書で、社会評論家のトーマス・フランクはもうひとつの可能性を提案する。リベラル主義者(特に民主党)は、米国の政治の憂うべき状況を理解するために、自らの内部を覗き込まないといけないと。TEDトークへの参加や、ワイン畑での休暇で忙しい民主党のエリートたちは、労働者階級に対する党の伝統的な公約を見捨てたとフランクは論じる。その過程の中で、今日の右翼の反乱の中心にある、政治的絶望感や怒りを作る手助けをしてしまったのだ」
ポピュリズムとは何か
『THE POPULIST EXPLOSION: How the Great Recession Transformed American and European Politics』(未訳)、ジョン・B・ジュディス著(コロンビア・グローバル・レポート)
これは「説得力があり並外れて明白な指南書」であると、ニューヨーク・タイムズの書評欄にジョナサン・オルターは書いている。「ポピュリズムがどういう意味か、どこから来て、なぜ大西洋の両側で進行しているのかを理解する助けとなる」と。
ジュディスは、左翼の経済的ポピュリズムと、「絶え間なく変わる第三のグループ──移民、黒人、テロリスト、生活保護受給者やそれらすべて──を甘やかしているエリート」を非難する右翼の文化的ポピュリズムを区別していると、オルターは書く。