モノやサービスを個人間で貸し借りしたり、企業から借りたりする「シェアリング・エコノミー」が世界的に注目されている。個人の住宅を宿泊施設にする「Airbnb」や利用者とドライバーをマッチングする「Uber」などが有名だ。12月からはDMM.comが「DMM Okan」と呼ぶ新サービスを始める。時間に余裕のある主婦が、忙しい共働き夫婦の家事を代行するユニークなシェアリングサービスである。
一方、多くのシェアリングビジネスは価格競争に陥りやすく、品質の担保などの問題から苦戦気味。車を所有せずに使いたいときに使うカーシェアリングも同様だ。
カーシェア業者30社で突出した収益力
カーシェアは2002年にオリックスグループ(オリックスカーシェア)が参入したのを起点に日本で10年以上の歴史がある。交通エコロジー・モビリティ財団の調査によれば2016年3月時点におけるカーシェアリングの会員数は約85万人で前年同月比24%増と成長著しいように見えるものの、このうち過半超のシェアを押さえ、約30社の中で独走する会社がある。時間貸し駐車場を運営している「パーク24」だ。
パーク24は2009年に「タイムズカープラス」のサービス名でカーシェア市場へ参入した。2014年10月期に初の黒字化を達成し、2015年10月期には営業利益12億円の事業に成長させている。というより、交通エコロジー・モビリティ財団の調査によればパーク24が参入する前年の2008年時点で、カーシェア事業者全体の会員数は合わせて、わずか3000人程度にしかすぎなかった。現在、タイムズカープラスの会員数だけで約58万人(2016年1月時点)に上っている。まさに、この市場の成長を牽引している。
いったい今までのカーシェアと消費者はどうズレていて、パーク24はどんなツボを押さえたのか。「シェアする文化が日本に馴染まなかった」などという小難しい話ではなく、サービスと消費者のズレが放置されていたと筆者には見える。
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