タイムズだけがカーシェアで勝ちまくる理由

パーク24がとらえた事業者と利用者のズレ

多くの事業者は、「カーシェアを日本に浸透させる」という問題を解決しようとしていた。しかし、これは企業の論理で立てられた論点にすぎなく、消費者の切実な問題は「わざわざ10分も歩いて借りに行くのは面倒」ということだった。

もともとパーク24は地主と契約を結び、時間貸し駐車場「タイムズ24」を展開してきた。全国で1万5000カ所を超えるまでに普及しており、この約半分に当たる7500カ所をカーシェアの拠点としている(2016年1月時点)。時間貸し駐車場こそがそもそも「ちょっとしたときに使いたい」シェアリングビジネスであり、人が集まるところにある。ここにカーシェアの拠点を兼用できたという相性の良さがあったことも成功要因の一つともいえる。

ちなみに個人利用の場合、タイムズカープラスの初期費用はカード発行料1550円。月額基本料金は1030円で、それ以外はたとえば15分ごと206円からなどお手ごろに利用することが可能である。

なぜズレは起き続けるのか?

ドラッカーは、企業の存在意義を「顧客の創造」、つまり顧客の問題を解決するために企業は存在すると定義している。当たり前だが、あらゆる企業は、顧客の問題を解決するために存在している。ラーメン屋もフェイスブックもメーカーも同様だ。

にもかかわらず、使いもしないサービスになかば強制的に加入させる携帯キャリアをはじめとして、多くの企業は自社の論理を押し付けてくる。短期的には利益が上がるかもしれないが、自社の都合を押し付けていると、顧客の立場に寄り添ったプレイヤーが出てきたときに負けてしまう。

それは、拙著『問題解決ドリル 世界一シンプルな思考トレーニング』でも解説しているが、自分の問題を解決しているだけにすぎず、顧客の問題を解決していないからだ。つまり、「相手の切実な問題」を捉えて「自分のできること」をそこに重ねて、はじめて問題は解決されるのだ。

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