タイムズだけがカーシェアで勝ちまくる理由

パーク24がとらえた事業者と利用者のズレ

「車があったら便利だけど、買うほどではないなあ」という方も多いのではないだろうか。自家用車を購入すれば各種税金や保険料、駐車場代、車検代などがかかり、いっさい乗らなかったとしても保有しているだけで維持費は年間10万円単位で発生する。また、公共交通機関が発達している都市部においては、「買い物や子どもの送り迎えなど、ちょっとした用事に車があったら便利だけど、レンタカーを借りるほどではない。まして買うほどでもない」という人は少なくないだろう。

そうはいっても、「ちょっとした子どもの送り迎え」「イケアへ家具の買い物」など車があったほうが便利なシーンは多々ある。ところが、パーク24参入以前の多くのカーシェアには欠点があった。カーシェアを利用しようとしても、徒歩15分以上かかることもざらにあった。ましてやレンタカーの場合は、最低でも3~6時間という単位で借りる必要があり、身近なサービスではなかった。

「徒歩で気軽に行ける場所に拠点がない」

当初、多くのカーシェア事業者は日本全国への普及を目指し、薄く広く全国に点在するようにカーシェアスタンドを作っていったが、多くの利用希望者にとって「徒歩で気軽に行ける場所にカーシェアの拠点がない」という問題が起きた。

タイムズカープラスはこの「ズレ」を発見し、企業の視点ではなく、「消費者の立場」からカーシェアビジネスを捉えた。押さえたのは「即座に乗れる密度」というツボだ。全国に広く薄く展開するよりも、一定の地域に集中して拠点を設置するドミナント戦略を選択した。カーシェアスタンドをまずは都心に密集させ、消費者とカーシェアの重なりを構築した。

これが後発参入ながらも、一気に競合を抜き去って唯一の黒字化を果たす原動力となる。コンビニもATMもすべてが「すぐそこ」が当たり前になっている消費者にとっては、自家用車を持たずに節約できることより「すぐそこ」で借りられることがツボだったのだ。

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