富士世界遺産、大本命企業の“自負" 設立以来90年近く富士山に密着

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富士山をバックに、富士急ハイランドの絶叫系アトラクション「高飛車」

イコモスが富士山の登録勧告を行ったと発表した翌5月1日には、富士急の株価はストップ高となった。日経平均株価は5月下旬の大暴落以降冴えないにもかかわらず、富士急の株価は底堅く推移し、6月21日には一時1220円と年初来高値を更新した。

同社株が1200円台をつけたのは、1990年8月以来、実に23年ぶり。1月4日の終値では503円に過ぎず、この半年で2倍以上にハネ上がった計算になる。

富士急は社名に「富士」の文字があることからもわかるように、富士山に密着した事業を続けてきたことはたしかだ。とはいえ、富士山の世界遺産登録によって、どの程度の恩恵を受けることができるのか。また、富士山観光を盛り上げるために、これまでどのような施策を打ってきたのか。

富士山世界遺産登録という画期的なニュースを前に、まずは富士急のこれまでの歴史を振り返ってみよう。

鉄道から発祥、富士山絡みのバスでは圧倒的

そもそも富士急は1926年、堀内良平によって設立された(当時の名称は、富士山麓電気鉄道)。山梨県の大月駅~同・富士吉田駅に明治時代から敷設されていた富士馬車鉄道の路線を譲り受け、鉄道営業を開始。また、バス自動車会社を傘下に収めるなどして、富士山へのあらゆる交通ルートの構築を図ってきた。

現在では、大月駅~河口湖駅の23.6キロメートル区間を走る鉄道よりも、バス路線が主軸となっており、富士山・河口湖周辺からは、東京をはじめ千葉・埼玉・神奈川、さらには静岡、長野などを結ぶ約15の高速バス路線を運行している。

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