QE3縮小のスピードに市場は順応できるか FOMCの「宿題」は、出口戦略の見直し
ダウンサイド・リスクも後退した
加えて声明文では経済・雇用見通しに対するダウンサイド・リスクが縮小したとの判断も示された。前回会合ですでに「殆どの参加者が、昨年9月と比べて雇用見通しに進展がみられる」(議事録)としつつも、QE3縮小の方針が定まらなかったのは「さらなる雇用の進展、見通しに対する自信の深まり、ダウンサイド・リスクの後退」を多くの参加者が確かめたいと思ったためだった。前回会合から7週間の間に、これら3つの条件がほぼクリアされ、QE3の縮小パスの提示につながったと考えられる。機は熟したということだ。
ここで今回の発表を整理しておこう。
(1)FOMCは、QE3公表時と比べて雇用見通しに大幅な進展がみられることを示す象徴的な経済指標として「7%の失業率」を掲げた。実際のQE3縮小は他の様々な経済指標を勘案した上で判断され、失業率だけをみてQE3縮小が始まるわけではないが、「7%の失業率」は重要な試金石とみなされている。金利ガイダンスの閾値に相当すると考えればいいだろう。
(2)今回のSEPでは、失業率が閾値に達する時期は昨年9月と比べて大幅に前倒しされている様子がうかがえる。それだけ見通しが改善しており、不透明感がなくなっているということだ。さらにFOMCは今回、経済見通し上のダウンサイド・リスクも縮小しているとの判断を示した。
(3)QE3は時間をかけて縮小・停止する必要がある。閾値達成の時期が来年上期ということは、縮小を始める時期も近づいたと言える。
(4)そこでFOMCは、「自分たちの見通しと整合的な経済指標が続けば、今年後半にもQE3縮小することができ、来年前半の段階的縮小を経て、同年半ばにはQE3を停止することができる」との考え方を示すに至った。
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