QE3縮小のスピードに市場は順応できるか FOMCの「宿題」は、出口戦略の見直し

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見方を変えると、SEPから示唆される「7%の失業率」という閾値到達の時期を後ずれさせるほどのネガティブ・ショックが生じれば、QE3縮小の開始時期や段階的縮小のテンポ・期間、ひいてはQE3停止時期が変更され得る。雇用情勢のみならず、インフレや金融情勢の動きも重要な判断材料だ。

「出口ははるか先」とは言うものの・・・

「今年後半」に控えるQE3の最初の縮小に向けて、しばらくは次の4つの動きが注目されるだろう。(1)雇用・住宅市場の回復が続くこと。(2)緊縮財政等の影響を受けているとみられる製造業に持ち直しの動きが出てくること。(3)ディスインフレ傾向に歯止めがかかること。そして、(4)金融市場が落ち着きを取り戻すことである。

このうち(3)については、ブラード・セントルイス連銀総裁が政策決定に反対票を投じた点が注目される。ディスインフレが続いていることを踏まえ、ブラード総裁はもっとインフレ動向に軸足を置くようFOMCに求めた。足元のインフレを財・サービス別に見てみると、資源価格の落ち着きを反映したとみられる家庭用品価格や運賃の下落、冷え込みが続いたことによる春物衣料品の値崩れ、処方薬や外来や入院の費用の急低下などによってディスインフレが起きている面があり、これらの動きが反転するかどうかが重要だ。

また(4)については、金融市場のボラティリティの高まりによって、住宅市場を支えてきたヘッジファンドなどの機関投資家の投資行動を変えてしまうことがないのか、気がかりである。

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