バーナンキ議長に、勝手に期待した市場関係者 株価の水準は、経済実体や情報とは無関係

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しかし、それでも、株価は指標の発表ごとに下がる。

これは、いろんな形で解釈できるが、ひとつは、投資家というのは、刹那的、反射的、思考拒否的、という風に考えられる。彼らは、反応するだけで何も考えない。しかし、他の投資家が何も考えず、反射的に反応するのであれば、自分も反射的に反応するのがベストということになる。

自分の都合だけで考える、資産市場の都合しか考えない、ということと、物事に対して反射的にしか反応しない、ということ、これらにより、資産市場の価格や為替は、全く実体経済とは関係なくなるし、さらに、情報的に言っても、何の情報も反映していない、織り込んでいないものになる。情報の見せられ方、発表される順番により、株価の水準は変化が起こるだろうし、流れも変わる。

つまり、株価の水準は何事も表していないし、毎日の反応自体も、実体や情報とは何の関係もなくなっているのだ。

株価は何の意味もない。それが、19日のFOMCからのレッスンだ。

小幡 績 慶應義塾大学大学院教授

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おばた せき / Seki Obata

株主総会やメディアでも積極的に発言する行動派経済学者。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現・財務省)入省、1999年退職。2001~2003年一橋大学経済研究所専任講師。2003年慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應義塾大学ビジネススクール)准教授、2023年教授。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。著書に『アフターバブル』(東洋経済新報社)、『GPIF 世界最大の機関投資家』(同)、『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書)、『ネット株の心理学』(MYCOM新書)、『株式投資 最強のサバイバル理論』(共著、洋泉社)などがある。

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