カシオが「Gショック」の先に描く屋台骨 樫尾会長肝いりの新規事業は結実するか

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不採算事業から手を引き身軽になるカシオが取り組むのが、樫尾和雄会長の直轄で進む3つの新規事業だ。「新規事業では30%以上の利益率を出せるように発破を掛けている」と樫尾会長は鼻息が荒い。

すでに事業化されているのが「リスト端末」。今年1月に発売したカシオとして初めてのスマートウォッチ「WSD-F10」が、その代表例だ。アウトドア用に特化し、Gショックで培った耐久性を売りにする。スマートフォンと連携し、登山用の地図や潮の満ち引きを知らせるアプリ、ランニング時に活動量を確認するアプリなどを搭載。トレッキングや釣りといった場面での使用を想定している。

新規事業は会長直轄

新規事業に意気込む樫尾和雄会長(手前)と息子の和宏社長(撮影:今井康一)

2つ目が量産手前の状態にあるという「2.5Dプリンタ」だ。2次元でも3次元でもない、「2.5次元」とは何なのか。特殊な素材を塗布した専用紙に印刷し、それを加熱することで平面に約2mmの凹凸をつけた立体的な表現を可能にするというものだ。製造業における試作での活用などを想定しており、すでに商談も立ち上がっているという。

そして3つ目が、カシオの経営ノウハウをまとめ、ネット上の動画で配信するという「経営ネット事業」。今期中には始める予定で、全世界のビジネスパーソンを対象にする。まずは「商品企画」をテーマにした動画を制作する。「かつて電卓事業で他社に差をつけたカシオにはいい商品を生み出す力があり、そのノウハウへの関心がある人は多い」(樫尾会長)。

樫尾和宏社長は「(これら新規事業を束ねたものを)時計事業、教育事業(関数電卓や電子ピアノ等)に次ぐ第3の柱にしていきたい」と話す。もっとも、すでに事業化されたのはリスト端末のみ。ほかの2つはまだ未知数だ。Gショックの発売から30年を超えているが、今度こそ新たな柱を打ち立てることができるだろうか。

遠山 綾乃 東洋経済 記者

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とおやま あやの / Ayano Toyama

東京外国語大学フランス語専攻卒。在学中に仏ボルドー政治学院へ留学。精密機器、電子部品、医療機器、コンビニ、外食業界を経て、ベアリングなど機械業界を担当。趣味はミュージカル観劇。

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