前出の国連報告ではジェンダーの平等を妨げる要素として、1.不利な社会規範、2.法的な保護の不備、3.家事や介護といった無償労働の必要性、4.デジタルや金融、不動産などの事業に従事するうえでの不平等の4点を挙げている。
「不利な社会規範」については多くの国で、明文化された法規定が存在する。女性の職業選択や移動の自由、起業、資産の所有と相続などを制限するものだ。
国際通貨基金(IMF)の最近の分析によると、こうした法的な差別は、教育や給与などの面で男女間の不平等をもたらしている。さらに世界銀行によれば、雇用機会の男女平等を法的に義務づけていない国は103カ国、同一職種における給与面での男女平等を義務づけていない国は101カ国に、それぞれ達している。
数億人もの女性が、法的にも慣習的にも社会・労働面の権利を保護されない状況下で働いているのだ。
インドでは女性従業員の95%までが非正規
たとえばインドでは、有償の労働に従事する女性の95%に当たる約1億2000万人が非正規雇用だ。この比率はメキシコでは約60%だ。こうした女性には労働環境や賃金面での待遇改善を求める権利が与えられておらず、セクハラや暴力などに悩まされることが多い。
「出産・育児による不利益」も男女格差を拡大させる要因といえる。世界的に見て、子育て中の女性の給与は子どものいない女性より低い。そして子供の扶養手当を支給されている男性よりも低い。こうした「父親であることによる利益」も存在するのだ。
託児所の整備などによって育児負担を減らすことは、個人や家族だけでなく、企業や経済全体にも有益だ。女性の労働参加を促して生産性を向上させるとともに、子供たちが成人した後の教育水準も高まるからだ。
今年の世銀・IMF年次総会で、世界の指導者は経済成長を加速させる方策を模索した。彼らは、そのための最優先課題に、ジェンダー平等を掲げるべきであった。
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