「南シナ海」はASEANを曲がり角に追い込んだ

50周年を機に、全会一致原則の修正が必要だ

南シナ海・西沙諸島のウッディー島をパトロールする中国人民解放軍の兵士。1月29日撮影(ロイター)

創立50周年を来年に控えたASEAN(東南アジア諸国連合)が岐路に立たされている。南シナ海での中国の領土要求に対して明確な立場を示していないからだ。

これまで全会一致を原則とするASEANの意思決定方式により、異なる国々は国益を守りながらも結束できていた。しかし今、安全保障上の緊急課題に対応できない実態があらわになっている。

2001年の9.11テロの際にASEANが共同歩調を示せなかったのは全会一致原則が理由だった。最近の北朝鮮による核実験などの暴挙に対し断固とした行動を取れないのも、加盟国の一部が北朝鮮に同情しているからだ。

そして南シナ海問題はこの限界を示す象徴的な事例となっている。16年7月のASEAN外相会合でも、その2週間前に常設仲裁裁判所が中国の領有権を認めない決定を下した事実を共同声明に盛り込めなかった。

「平和の維持と強化」への疑念

ASEAN憲章の冒頭には「平和の維持と強化」がうたわれている。しかし南シナ海問題が浮上し、ASEAN加盟国政府や国民は憲章に疑念を募らせている。この行き詰まりは加盟国間の関係をも危険にさらしかねない。

ASEANが全会一致というジレンマを解決するために、やるべきことはいくつかある。

次ページ多数決導入の前例はある
政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 非学歴エリートの熱血キャリア相談
  • あふれる独自性 ニッポンのすごい研究者
  • 本当は怖い住宅購入
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
改正対応待ったなし!<br>働き方と仕事の法律

同一労働同一賃金の本格化、中小企業でのパワハラ防止対策の義務化など、今年は重要な改正法の施行が目白押し。2022年に施行される法律の要点に加え、昨年の4月に施行された改正民法も総点検。改正ラッシュへの備えを万全にするための法律虎の巻です。

  • 新刊
  • ランキング
東洋経済education×ICT