帝人が「介護休職730日」を導入した理由 女性活躍推進からダイバーシティ推進へ
働き盛りの男性にとって、介護は大きなテーマ
――現在の日高室長の部署はダイバーシティ推進室になっていますが、女性活躍推進室との関係をお聞かせください。また730日の介護休職を導入された経緯についても教えてください。
女性活躍推進室のミッションを2007年に拡大したのがダイバーシティ推進室だ。弊社は女性活躍という観点でダイバーシティを推進してきたが、もちろんダイバーシティは女性だけを対象とするものではない。またその頃になると、働き方も在宅勤務、短時間勤務という選択肢が増え、外国人も採用するようになった。そこで時代の変化にあったダイバーシティを推進する部署としてミッションを拡大し、女性活躍推進室をダイバーシティ推進室と改名した。
要介護状態の対象家族を持つ社員への施策は、育児と同じように「時間制限のある社員の働き方」の整備という点で、ダイバーシティ推進室にとって大きなテーマだ。また、40代、50代の働き盛りの男性も対象であり、介護の場合は育児と違って、状態が改善することは少ない。政府も労働者の介護対策を重視しており、介護休業法では通算93日まで介護休業できると定めているが、93日は少なすぎる。
そこで弊社では、1997年に1年間休職できる制度を整えていたが、2005年に分割して取得してもいいことにした。「分割できる」というところが重要だ。
それまでの介護休職制度の運用で、365日連続で休職する人は非常に少ないことがわかっていた。要介護者は同じ状態が続くのではなく、変化する。たとえば、介護対象者が脳の手術をし退院した直後は、会社を休んで完全に介護をする状態が続くだろうが、しばらくリハビリをしてヘルパーなどの支援態勢ができれば、休まなくてもよくなる。
また最初から介護休職する人は少なく、未消化の年休を使う人が多い。そこで介護休職制度は、1年間という長い期間と分割できるという使い勝手で安心してもらうことを重視したのだ。
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