ヤフー「一括採用」廃止に映る新卒就活の弱点 最初の失敗にやり直しが効かない日本
IT大手のヤフーが10月3日、新卒の一括採用を廃止し、通年で経歴にかかわらず採用する「ポテンシャル採用」をはじめることを発表した。
新卒・既卒、第二新卒などの経歴にかかわらず、30歳以下であれば応募できる。制度を始めた狙いについて、リリースでは次のように説明している。
「これまでの『新卒採用』と就業経験を重視する『中途採用』では、第二新卒や既卒などの方に対して平等な採用選考機会を提供できないことに加え、昨今、海外留学生や博士号取得者など就職活動の時期が多様化し、従来よりも柔軟な採用の枠組みが必要となってきました」
「先進的な取り組み」「日本型雇用を破壊する」などさまざまな声があがっているが、ヤフーの取り組みを人事の問題に精通した弁護士はどうみているのか。神内伸浩弁護士に聞いた。
一括採用のメリット
そもそも「新卒一括採用」という採用形式は、企業側にとってどのようなメリットがあるのか。神内弁護士は4つの点を指摘する。
「新卒一括採用を行う企業側のメリットは、いわゆる終身雇用制を前提とした場合、(1)定期的な若年層の補充、(2)採用事務の効率化、(3)『同期入社』という横のつながりの確保、(4)幹部候補の発掘・育成、といったことが挙げられます。順に見ていきましょう。
まず、どんな人も必ず毎年1歳ずつ年をとりますので、人の入れ替えがなければいずれ組織は高齢化してしまいます。そこで定年制を設けるとともに新卒一括採用を行うことで、半ば強制的に人を入れ替え、組織の老化を防止することができます。