ヤフー「一括採用」廃止に映る新卒就活の弱点 最初の失敗にやり直しが効かない日本

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次に、採用を定期に一括で行うことで、会社説明会や面接、筆記試験等の実施を効率化することができ、入社後の教育や研修についても開催時期や内容等を定型化できるというメリットもあります。

さらに、社内の人間関係においても『同期入社』という横のつながりができることで醸成される一体感や、各年代による企業文化の継承といった効果が期待できます。さらには、そのような小集団の中からその年毎に幹部候補を発掘し、育成していくということも企業にとっては重要な要素となります」

「最初の就職活動に失敗してもやり直しが可能になった」

現代においても、こうしたメリットはあてはまるのか。

「このような新卒一括採用は、学生側からしてみれば、やり直しのきかない『一発勝負』であるとも言えます。

しかし、終身雇用制への期待も薄らぎ、大学卒業者のおよそ3人に1人が大学卒業後3年以内に離職しているという昨今の現状に鑑みれば、企業側も必ずしも新卒にこだわる必要はないのかもしれません」

今回のヤフーの取り組みはどう評価できるのか。

「新卒一括採用を廃止し、通年採用とすれば、これまで受験資格のなかった第二新卒にも枠が広がり、優秀でやる気のある人材をより広く募ることが可能となります。

さきほど述べた(1)~(4)のメリットは失われることとなりますが、これらに重きを置かない企業であれば、門戸を広くすることで、これまで得られなかった人材を得られる可能性は高まると言えるでしょう。

学生の中には、『新卒』ブランドの価値がなくなると危惧する声もあるようですが、新卒一括採用には上記のメリットがありますので、すべての企業が新卒一括採用を廃止するということにはならないでしょう。

企業側の考え方が多様化してきたことは、学生側にとってもむしろチャンスではないかと思います。その分、自分に合った企業を探す機会が増えた、たとえ最初の就職に失敗してもやり直しが可能になった、とポジティブに考えることができたら良いですね」

神内 伸浩(かみうち のぶひろ)弁護士
事業会社の人事部勤務を8年間弱経て、2007年弁護士登録。社会保険労務士の実績も併せ持つ。2014年7月神内法律事務所開設。第一東京弁護士会労働法制員会委員。著書として、『課長は労働法をこう使え!―――問題部下を管理し、理不尽な上司から身を守る 60の事例と対応法』(ダイヤモンド社)、『管理職トラブル対策の実務と法【労働専門弁護士が教示する実践ノウハウ】』(民事法研究会 共著)、『65歳雇用時代の中・高年齢層処遇の実務』(労務行政研究所 共著)ほか多数。
事務所名:神内法律事務所

 

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