GEナンバー2が語る、世界戦略の全貌 ゼネラル・エレクトリック、ジョン・ライス副会長に聞く

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賃金や為替だけで生産拠点を判断しない

──昨年は白モノ家電の生産拠点を、中国やメキシコから米国ケンタッキー州へ移管しました。

賃金や為替レートは検討要因になるが、それだけで決めるわけではない。たとえば冷蔵庫といった白モノ家電の場合、価格に占める賃金の割合はさほど高くない。だから人材の能力や実力をベースにして、生産拠点を移す判断をした。

たとえ賃金が多少高くても、能力や柔軟性、生産性の高い人材を確保できれば相殺できる可能性がある。生産拠点を選ぶときは、社員の能力を念頭に置いている。だからといって、必ずしも他国から生産拠点を米国に戻すということではない。並行して他国の生産拠点を大きくしていくこともある。

──ドイツのシーメンスは脱原発の方針を打ち出し、再生可能エネルギーへ戦略の舵を切りました。GEの原子力発電事業の位置づけは。

非常に幅広いテクノロジーのポートフォリオを築いていく必要がある。発電技術には、ガス、バイオ燃料、風力や太陽光を含む再生可能エネルギー、環境への配慮が必要な石炭などがある。それから原子力があり、まだ実用化には至っていないが波の力を生かした波力も話題になっている。

たとえばシェールガスの影響は、米国のみならず日本や中国にも広がっている。エネルギー価格や発電技術はどうなるのか、5年前なら話題にもならなかったが、今や誰もがシェールガスと騒ぐようになった。

発電事業は数十年単位で見ていかなければならない。今後の30年間を見たとき、私たちがどうやって電力を作るかを予測するのは非常に難しい。そのときに求められる技術を考えたうえで、幅広い選択肢をポートフォリオに備えておきたい。

(撮影:梅谷秀司 =週刊東洋経済2013年6月1日

前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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