「2つの過剰」に苦しむ世界の工場・中国

景気・経済観測(中国)

中国経済は停滞しているのか(撮影:今井 康一)

中国が「世界の工場」と呼ばれるようになって久しいが、その「世界の工場」に力強さがみられない。最近発表された様々な経済指標に停滞感が現れている。

4月の工業付加価値生産額の実質伸び率は前年比9.3%増と、3月の同8.9%増より若干改善した。しかし、2012年10~12月期から今年初頭にかけての10%増という近傍の伸びと比べると、生産活動の弱々しさは否めない。しかも、HSBCが発表した5月の製造業PMI(購買担当者景気指数)も下振れた。前月と比べて0.8ポイント低い49.6となり、7カ月ぶりに好不況の判断の境目となる50を割った(速報値)。

意図せざる在庫が積み上がり、調整に遅れ

このように生産の回復力が弱いのは、在庫調整が遅れているためだ。3月の生産・在庫バランス(生産の伸び-在庫の伸び)が再び悪化した。受注が思ったよりも伸びずに、「意図せざる在庫の積み上がり」が生じていた可能性が高い。とりわけ、石油・石炭、鉄鋼、非鉄金属、化学などで生産・在庫バランスの失調が顕著であった。中国国家統計局発表のPMIの中身をみても、原材料在庫、製品在庫が4月も50を下回っている。前月比減少、すなわち、中国はまだ在庫の削減の途上にあるということだ。

在庫調整の難航は、生産者物価にも影響を与えている。2012年8月以降、生産者物価指数の下落幅は縮小傾向に向かっていたが、この2カ月はその動きが反転、4月にはマイナス2.6%にまでマイナス幅が拡大した(前年比)。また、国際商品市況にもその影響は及んでいる。そもそも中国経済の減速で国際商品市況は弱含んでいたが、5月23日にHSBC発表の製造業PMIが改善・悪化の境目である50を割ったことが伝わると、銅や天然ゴムなどが大きく値を下げた。

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