SNSが「ファッションショーの常識」を覆した より派手に、よりタイムリーに
今回のファッションウィークに対するトミーヒルフィガーのアプローチは、ブランドの二面性、ソーシャルメディアや、目にしたものをすぐに買いに走る大量消費時代によるプレッシャーに迫られた対応だ。現在、ファッションショーは、非常に異なる2つのグループに属する人々へ異なるものを提供しなければならない。それは、一般大衆向けのエンターテインメントおよびエンゲージメントのソースであることであり、同時に、批評をしてくれるバイヤーやプレスのために、包括的な新製品コレクションでもあることだ。
今シーズン、デザイナーたちはコレクションを、パーティーで、カーニバルで、従来のキャットウォーク上でどのように披露するのか、そしてそれは誰に対するものか、顧客なのか、それともバイヤーなのか、決断しなければならなかった。何が一番効果的なのかの確認をブランドは急いでいることから、それらの判断の重要性は明らかである。
「ガイダンスや第一人者の見解などがあれはいいのだが。いまはまったくパニック状態にある」とDKNY(ダナ・キャラン・ニューヨーク)でグローバルコミュニケーションのバイスプレジデントをかつて務めた、アリザ・リヒト氏は語る。
パブリシティ向けの派手なイベント
ファッションショーの目的は、ソーシャルメディアによって、まったく変わってしまった。結果、デザイナーたちは新作コレクション発表の際、誰でも参加できるようなイベントに注力している。かつてはシンプルで、そうではなかったのだが。
2016年1月、CFDA(アメリカファッション協議会)はボストンコンサルティングエージェンシーと提携し、ニューヨークファッションウィークの目的を評価することにした。同報告書はほとんど要領を得ないものであったが、CFDAは、その当初の目的が何であったかをあらためて提示した。つまり、「デザイナーたちはコレクションを紹介し、プレスはそのコレクションを評価し、バイヤーは発注すること」だ。
しかし、状況は変化してきている。テクノロジーによってファッションショーが数百万のユーザーの目にされるようになった。ライブ配信、インスタグラム投稿、スナップチャット投稿が、いままで閉鎖的だったショーの扉を吹き飛ばしたのだ。
「かつてはトレードイベントだったのが、現在はリアルタイムで大衆の前に出ている。それが盛り上がりを強めている」と、CFDAのプレジデント、スティーブン・コルブ氏はその報告書で述べている。