極め付きは自動販売機に「食器洗い」というチケットも500円で販売されていました(2016年10月15日現在は廃止)。訪店当日は忙しくなかったのか、食器洗いのチケットを買わずに済みましたが、ここまでくるとセルフ焼き肉というより、むしろ都会で楽しむバーベキュー感覚です。
これだけセルフ焼き肉にこだわるのはやはり人件費の削減にあります。繰り返しになりますが、牛枝肉の高騰により、人件費を削減し、削減したコストを肉の仕入れ費用に充てることができます。肉のクオリティを維持することは結果、顧客においしさを還元できます。セルフ焼き肉のビジネスモデルにはそういう意図が明確に見られます。
客の代わりに「焼いてくれる」お店も
一方で対極の存在する焼き肉店もあります。注文を受けた肉を焼き手が焼いてくれるお店です。2015年に東京・新宿三丁目でオープンした「焼肉 大貫」です。メニューはコースのみで構成され、肉はスタッフが焼き手となり、お任せできるお店になっています。薄めのお肉はサラッと、厚めのお肉はじっくり焼きがセオリーですが、焼き手にお任せした方が良い部位があるのも事実です。
例えば、厚焼きのタンです。サシの強いお肉はさっとあぶり、赤身肉はそれよりも時間をかけるということは素人なりに理解はできますが、厚焼きタンの焼き加減の見極めは非常に難しいです。火の入りが甘くても、入りすぎても固くなるケースがありますので、是非、プロに焼いて頂きたい部位になります。
「生粋」(台東区)も盛り合わせをオーダーすればスタッフが焼き手となる焼き肉店です。以前、「生粋」を紹介した40代後半の上司に言われたことがあります。「部下と行くのに非常に良い焼き肉店を紹介してくれた。だって若手や女性が焼かなくていいだろ。上司と一緒だから、話も聞きたいだろうけど、焼かされる若手や女子は大変」なるほど、味もさることながら、気の使える上司にはお任せできる焼き肉店が、使い勝手の良い店なのかもしれません。そういう需要もあるのかと改めて認識しました。
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