阿部寛、唐沢寿明、織田裕二が経た挫折と成功 三者三様の名優に学ぶビジネススキルの本質

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これをビジネスマンに置き換えると、「自分の型や常識を決めずに、仕事を受けていく」ということ。社歴が増し、役職が上がるにつれて、自分の型や業界の常識にこだわる人が多いのですが、それをやめるだけで仕事の固定化を防ぐことができます。同様に社内外の人々に対しても、型や常識という色眼鏡で見ないことが、自らのスキルアップや信頼関係の構築につながっていくでしょう。

「THE LAST COP」は、ツッコミどころだらけのおバカなシーンが続き、ハッキリ言って実力派のベテラン俳優が主演を務めるタイプの作品ではありません。かつて私がインタビューしたときもそうでしたが、唐沢さんはとにかく周りの人々を楽しませることばかり考えている人。ビジネスマンなら同僚や取引先を笑顔にさせるサービス精神の持ち主であり、「自分はこうしたい」よりも、「あなたのために何が必要なのか」を考えているのです。

芸能界屈指の車好きで、音楽や武道など多趣味で知られ、友人も多い唐沢さん。その明るさやサービス精神、大胆で小さなことにこだわらない姿は、“豪放磊落(ごうほうらいらく)”というフレーズが相応しい器の大きさを感じます。

演技に納得できなかった織田裕二

最後は「IQ246~華麗なる事件簿~」主演の織田裕二さん。演じるのは、貴族の末裔でIQ246の天才、なおかつ変人というユニークなキャラクターですが、織田さんはこの役にたどり着くまでにさまざまな挑戦と葛藤を繰り返してきました。

デビューを1987年の映画「湘南爆走族」のメインキャストで飾り、その後も1989年の「ママハハ・ブギ」(TBS系)で主要キャスト、映画「彼女が水着にきがえたら」で原田知世さんの相手役、1990年の「卒業」(TBS系)で中山美穂さんの相手役に抜擢され、1991年の「東京ラブストーリー」(フジテレビ系)で大ブレイク。まさに順風満帆の俳優生活を謳歌しているように見えました。

しかし、織田さん本人は納得できる演技ができず、必ずしも評判が良くなかったことで危機感を抱き、出演作品をガラッと変えていきます。ラブストーリーやコメディから一転、1993年の「振り返れば奴がいる」(フジテレビ系)、「素晴らしきかな人生」(フジテレビ系)、1995年の「正義は勝つ」(フジテレビ系)、1996年の「真昼の月」(TBS系)などのシリアスな作品に様変わり。そして1997年、代表作の「踊る大捜査線」(フジテレビ系)にめぐり会うのですが、この間、織田さんは、企画そのものや脚本・演出に関与する“物言う俳優”に変貌していました。

つまり、質の高さへのこだわりを表に出していたのです。メディアの中には「わがまま」「扱いにくい」などの批判記事も少なくありませんでしたし、自分の信念を貫くことで孤独感やプレッシャーは高まるものですが、織田さんは決してめげません。むしろ、出演作品を年間1~2本に絞って集中するなど、その徹底した姿勢は特筆すべきものがあります。

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