阿部寛、唐沢寿明、織田裕二が経た挫折と成功 三者三様の名優に学ぶビジネススキルの本質

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その後、脇役としての実績を積み、2000年からの「TRICK」(テレビ朝日系)シリーズで再びメインキャストへ。ここで演じた大学教授の役で、「ちょっと残念な男」「どこかさえない男」のイメージが一気に広まりました。

2004年の「アットホーム・ダッド」(フジテレビ系)では空回りする主夫、2005年の「ドラゴン桜」(TBS系)では暴言連発の弁護士、2006年の「結婚できない男」では偏屈な皮肉屋の建築家を演じるなど、“非イケメン”の役柄で、変幻自在の演技派というイメージを確立したのです。

イメージと経歴をいったん捨てる

私たちが阿部さんから学ぶべきは、これまでのイメージを捨てる勇気と、逆手に取る賢さ。阿部さんは、それまで培った“イケメン”というイメージをいったん捨てたあと、「残念」「さえない」という自虐ネタとして再利用することで、俳優としては不利だった濃い顔と長身を生かしました。

ビジネスマンもキャリアが長くなるほど、自らのイメージや経歴に縛られて成長が止まったり、スランプに陥ったりするものです。そんなときはイメージや経歴をいったん捨てて、新たな自分を手に入れたあとに、再利用するのが得策。あなたのイメージや経歴は幅が広がり、周囲からの評価もワンランク上のものになるでしょう。

たとえば、売れっ子の営業マンなら、成約までのトークパターンをいったん捨てて、別の方法でアプローチしてみる。その方法が自分のイメージから離れているほど、新たな気づきを得られたり、「あれっ?」という意外性を与えられたりするものです。

阿部さんは、「濃い顔で長身なのに、“残念でさえない男”を演じる」ことで、唯一無二の存在になりました。アニメ映画「北斗の拳」ではケンシロウの声優を務めたことも含めて、演じることを楽しみながら1枚ずつ殻をぶち破っていく姿は、参考にすべきものがあります。

余談ですが阿部さんは、「バブル期、不動産投資に失敗して億単位の借金を作り、返済に20年近くかかった」と自ら明かしたことがありました。ひょうひょうとしているように見えますが、「イケメン俳優としての挫折」「資産形成の失敗」からの再起は、“捲土重来(けんどちょうらい)”というフレーズが相応しい人間性が垣間見えます。

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