日本版ISAは、顧客基盤を拡大するチャンス インタビュー SMBC日興証券 久保哲也社長
――海外については、多くのプレーヤーがアジアだと言っています。しかし、アジアの金融資本市場は発展の初期段階であり、依然、間接金融が優位にある。その意味では、独立系よりも銀行系のほうが立ち位置がいいのでは。
アジアではまだ、優良企業が債券発行という段階にはなっていないが、その準備はしないといけない。それから、欧州でもアメリカでも銀行のリレーションシップを活用した優位性はあると思う。もちろん、それを目指すが、ただ、われわれのプライオリティーとしては、日本企業のグローバル化の手伝いをきっちりと果たすのが先決だ。たとえば、日本企業による海外市場での起債などだ。そのフィープール(潜在的な収益性)は大きい。
非日系企業とのビジネスで収益を上げていくことは容易ではない。世界の有力投資銀行が席巻している中に入って、まともな勝負をできるのか。そこは投資効率をよくよく考える。なにしろ、当社は総合証券になってわずか3年でしかない。
JPモルガンですら銀行から証券に事業領域を拡大して、競争力をきちんと高めるまでに10年を費やした。 そのように着実になすべきことをきちんとやって実力をつけていく。壮大な夢を描いて言葉だけが躍るようなことはせず、順序を定めて、自分たちが強くなることをきっちりとやっていくべきだ。海外の投資家とは議論を重ねてきているが、彼らも「日興はよけいなことをしないでほしい」と言っている。
せっかく、強い国内リテール基盤があるにもかかわらず、壮大な投資をして、ほとんど損失を出し続け、10年に1回だけ巨額の利益を得るようなことは好ましくない。そうならないためにも、まず、得意分野を深化させたい。
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