ニッポンの筆記具、「逆風下」で稼ぐ秘訣 パイロットと三菱鉛筆が過去最高益うかがう
かつて2000年ごろまでの過去30年にわたり、世界最大の輸出国として日本が君臨してきた産業がある。ボールペンやシャープペンシルなどの筆記具だ。
海外の文房具店でも、たやすく日本ブランドを目にできる。戦後、日本メーカーは、西洋発祥のペンを、より使い勝手の良い製品へと進化させることで、高い支持を得てきた。いまでも国内で生産されているボールペンの7割近くが海外に輸出されている。
中国勢に押され、全体では苦戦気味だが…
ただ、日本の筆記具メーカーはここ10年、苦戦を強いられている。パソコンの普及で、筆記具を使用する機会が減っていることもあるが、なにより低価格を武器に飛躍する新興国メーカーに押され、単価の下落に歯止めがかからないのだ。現在、販売本数で他国を圧倒的するのは中国だが、その価格は日本製の3分の1程度。圧倒的な価格差で2000年前後に日本勢から、最大の輸出国の座を奪った。08年のリーマンショックも追い打ちをかけた。
業績低迷を受け、抜本的なコスト改革に乗り出す企業が続出。それまで粗品などのギフト用として大きな販売量が期待できた法人向けが急速に減少り、いよいよ窮地に追い込まれる筆記具メーカーが出てきている。だが、国内2強のパイロットコーポレーション、三菱鉛筆といった大手筆記具メーカーに限定すると、様相は異なる。大逆風からもすぐに立ち直り、今年度(13年12月期)は2社ともに過去最高益をうかがう勢いである。
厳しい経営環境の中、どうして事態を好転できたのか。そこには圧倒的な開発力に依拠した高付加価値戦略がある。
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