ニッポンの筆記具、「逆風下」で稼ぐ秘訣

パイロットと三菱鉛筆が過去最高益うかがう

そのなか、三菱鉛筆はリーマンショックなど急激な景気変動があった場合でも、開発人員については採用を取りやめないという。同時に売上高の5%以上は開発に振り向ける方針も打ち出している。パイロットも、たとえ減益となっても年間12億円以上の研究開発費を費やしてきている。この開発にかける執着心が、圧倒的な開発力を支えている。先の「フリクション」はなんと30年にもわたる投資と我慢の末に生み出された商品という。

「専業の覚悟」が開発力を生み出す

高い開発力をもつ背景の一つに、日系メーカーがおかれている経営環境もあるようだ。有力な海外メーカーは、筆記具のほかにも核となる事業を有している。万年筆ブランドの「パーカー」や「シャーピー」などを多くの筆記具ブランドを擁する世界最大手ニューウェル・ラバーメイド(米)は、事務用品や工具、ベビー用品など、筆記具以外にも多角的に事業を展開している。また2位のビック(フランス)も、カミソリやライターなど文房具以外の分野でも収益を上げている。

対する日本の筆記具メーカーの多くは専業だ。ほかに会社を維持するだけの事業を持たず、筆記具のでき一つで会社の存亡がかかっている。この筆記具で稼ぎ続けなければならないという追いこまれた経営事情が、開発に執着心を持ち続けられる風土を育てた面もある。

現在、パイロットの「フリクション」はフランスなど欧州を中心に40カ国以上で販売、大ヒットをとばしている。また三菱鉛筆の「ジェットストリーム」や、紙への浸透性がよくにじみにくい、ぺんてるの「エナージェル」も売れ行きは好調だ。これら海外に充分な開発技術がない付加価値ペンを武器に、販売単価も上昇中だ。

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