“ヤフー流”テクノロジー文化を移植
さて、こんなユニークなサイトだが、現CEO(最高経営責任者)のチャッド・ディカーソンは実はその創設者ではない。2008年にCTO(最高技術責任者)として入社し、その後2011年にCEOとなった。
そして実はここが重要なポイントだが、“手作り人コミュニティ”という牧歌的な存在であっても、現代社会では本物の手作りコミュニティを保持するのは簡単ではなく、背後では強力なテクノロジーの力が必要だ。かくして、彼の登場となるのである。
ディカーソンは、エッツィーに来る以前はヤフーに在籍していた。そこでよくやっていたのは、外部のハッカーたちを集めて、面白い製品やサービスを即時にプログラムする、ハッカーソンというゲームのようなイベントを開くことだった。
プログラマーたちの世界では、どれだけ早くウェブ上のテクノロジーを向上させていくかがいつも課題だ。その向上の方法もいろいろある。たとえば、数カ月先にアップデートすることを目標に定め、全員が歩調をそろえてプログラミングに励むやり方もあるだろう。
だが、最近、注目されているのは小刻みに目標を定め、断続的にアップデートしていく方法だ。しかも、今や小刻みと言っても数日ごと、いや毎日、数時間ごとと、ますますその小刻み具合が先鋭化しているのである。
ディカーソンは、エッツィーにそんなテクノロジーの文化を持ち込んだ。エッツィーには100人を超えるエンジニアたちがいて、日々サイトの仕組みや使い勝手に手を入れている。しかも、その方法は毎日数10回もアップデートが行われるようなスピーディなもの。
多くの人々が集い、やり取りするコミュニティのサイトは、今やそれだけのテクノロジーの力を必要としているということだ。ディカーソンがCEOとなったのも、エッツィーでのテクノロジー開発が遅れ、メンバーの成長度も停滞していたのを解決する必要性に迫られていたからだった。
“偽物”は、しっかり取り締まる
また、本当の意味での手作りコミュニティを維持するのも簡単ではない。今では大量生産品も巧みになり、まるで手作りに見える工場製品も多く出回っているからである。エッツィーは、これで何度かトラブルに巻き込まれたこともある。
たとえば昨年は、手作り家具だとうたっていたあるメンバーが、実はどこかの商品を卸で仕入れてエッツィーで売っていたのが、別のメンバーの訴えで明らかになった。エッツィーの処置も緩慢で、これに抵抗したメンバーたちの多くがサイトを離れていった。また、大量生産品を手作り品と偽って売ろうとする店は、たびたび出てくる。
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