会話における男女差
では、なぜ、女性のニーズを見誤ってしまうのでしょうか? それは会話に対するニーズには男女差があることに気づいていないからです。
では、その差とは?
女性が会話に求めるニーズは先に述べたとおり「共感」です。一方の男性は「能力の誇示」と「問題解決」です。
この男女差はさまざまな研究成果が明らかにしています。脳の構造や機能から説明する研究者もいますし、進化の過程に解を求める人もいます。後者で有名なのがジョン・M・ゴッドマン博士です。ゴッドマン博士は数多くの夫婦を14年間にわたって追跡調査をし、夫婦の会話を5分聞くだけで4年以内に離婚するかどうか、85%の確率で当てられるという男女のコミュニケーションの大家です。そのゴッドマン博士は次のように説いています。
《狩猟時代、食料を確保するために男は外にでて狩りをしていた。狩りにおいて刻々とかわる状況に対応するために、コミュニケーションは「問題解決型」になった。そして、自分の意見や判断が正しければ仲間からの尊敬が集められ、プライドも満たされる。だからコミュニケーションは「能力の誇示」の手段にもなった。
一方、女性はコミュニティに留まり集団生活をして、男たちの留守を守ることが役割であった。集団生活で重要なのは、結束を高めて平穏無事な状況を保つこと。その有効な手段が会話であった。例えば、「今日は、赤ちゃんどうだったの〜?」と、お互いの状況や絆を確認し合うというように。その結果、コミュニケーションは共感型になった……》
この学説が正しいという主張をするつもりはありませんが、会話に対するニーズの男女差をすっきりと説明するのに“いいストーリー”だと私は思っています。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら