北朝鮮で何が起きているのか? ロバート・マニング氏に聞く

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――北朝鮮に対する、オバマ政権の政策をどう評価するか。

オバマ大統領は、この問題におおむね適切に対処してきたと思う。軍事力(B-2)を誇示したのは、米国は本気であるとの明確な意思表示だ。北朝鮮が武力攻撃を開始すれば、それは北朝鮮にとって命取りとなる。

それでも米国は、米国の側が事態をエスカレートさせていると思われるのを避けるために、ICBMの実験を取りやめたし、協議に前向きである旨をはっきりと表明した。米国はいつでも協議に応じる用意がある。ただしそれは、北朝鮮が撤回した2005年の合意、および2011年2月29日の合意に基づき、北朝鮮政府が自国の大量破壊兵器を協議の対象とするのをいとわない場合にかぎる、というわけだ。

過去には、北朝鮮の行動は、相手から譲歩を引き出すために緊張を高めることを意図していた。ところが今回は、オバマ政権も韓国の朴槿惠政権も共に、その筋書きは以前に経験済みであり、もうその手には乗らないと表明した。

オバマ政権は今回の空騒ぎにうまく対処している。軍に武力を誇示させることで、29歳の金正恩氏に対し、これはビデオゲームではない、北朝鮮政府は米国およびその同盟国と対決する前にもう一度よく考えるべきだ、という明らかなシグナルを送っている。

外交的な解決はありえない

私は、米国にとって、信頼の置ける抑止と同盟国に安心感を与えることとは、不可分の関係にあると思う。米国が海外で果たしている均衡維持の役割は、一貫してアジア・太平洋地域の安定に絶対不可欠な支柱のひとつであり、米国がこの役割の信頼性を損なう危険を冒そうとすることはない。

北朝鮮政府に向かって、北朝鮮が核保有国として許容されることは絶対にない、と明言することが重要だと私は考えている。北朝鮮はおそらく、米国との間で、米印原子力協力協定のような形の合意を望んでいるのだろう。しかし米韓両国の政府には、北朝鮮との間でそのような合意をまとめる気はまったくない。

――この問題を外交的に解決することは可能なのか。

朝鮮の体制が核兵器の保有を望むかぎりにおいて、外交で問題を解決する余地はまずない。双方に根深い不信感があり、また北朝鮮の体制は時代錯誤に陥っており、独自の神話にとらわれている。そのために、本気で話し合う余地はほとんどない。旧ソ連は3万個もの核弾頭を保有していたにもかかわらず、自己矛盾による崩壊の危機から自らを守り切れなかった。北朝鮮はこの歴史を思い起こすべきだ。

米国人は、どんな問題にも解決策はある、と考えがちだ。しかし中には、何とかうまく切り抜けていくしかない問題もある。金正恩体制崩壊後のシナリオを計画することは可能だが、現状を受け入れてうまくやっていくことも必要だ。

ピーター・エニス 東洋経済 特約記者(在ニューヨーク)

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Peter Ennis

1987年から東洋経済の特約記者として、おもに日米関係、安全保障に関する記事を執筆。現在、ニューズレター「Dispatch Japan」を発行している

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