北朝鮮で何が起きているのか? ロバート・マニング氏に聞く

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北朝鮮が、大規模な対決を念頭に置いているとは思えない。実際に、1962年に起こった「キューバ危機」と同じような意味で「危機」だととらえるのはナンセンスだと思う。世界は切迫した核対決の危険に瀕しているわけではない。北朝鮮軍が今にも非武装地帯を超えてなだれ込んでくることはない。これはしょせん政治劇にすぎない。

ところが残念なことに、多くのメディアが、この政治劇を真に受けた報道をしている。例を挙げるなら、足を真っすぐ伸ばしたまま高く上げて行進する北朝鮮軍を紹介するヒステリックなテレビ番組もあれば、北朝鮮が発する戦争の警告を興奮ぎみに伝えるニュース報道もある。また差し迫ったミサイル発射の射程を示す地図を見せることもあれば、退役米軍司令官が登場してミサイルの標的について解説することもある。

――ただ、北朝鮮は執拗に敵意を示し続けている。

確かに今回は、以前よりも声高く、よりメロドラマ的だ。しかし、北朝鮮はこれまでにも何度も繰り返し政治的かんしゃくを起こしてきた。毎年恒例となっている米韓合同軍事演習に対してもそうだし、また、北朝鮮による核兵器実験やミサイル打ち上げに対処する今回の国連安全保障理事会制裁決議に対しても、同様に政治的かんしゃくを起こした。

正恩氏は危険ではあるだろうが、狂人ではない。北朝鮮は自暴自棄に陥っているわけではない。北朝鮮の核実験・ミサイル実験は、実際には「挑発的行動」ではない。これらは、核・ミサイル能力を獲得するために、北朝鮮が40年以上もの年月をかけて取り組んできた体系的な軍事計画の一環なのだ。

確かに、過去に与えた外交的譲歩は、ミサイル実験・核実験の時期、そしておそらく回数にも、影響を与えてきた。しかし実験は現実にこれまでも実施されてきたし、今後も続くだろう。北朝鮮が核兵器を保有したいと望んでいるからだ。私は、抑止は今でも奏功していると考えているが、北朝鮮が射程4000キロメートルのムスダンや移動ICBMなどの新たな戦闘能力を開発していることを考えると、懸念が高まっているのも無理はない。

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