Xデーは9月か10月、マーケットに大波乱? 黒田日銀の「バズーカ砲」には手放しで喜べない

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中野 そういえば藤野さん、ロイヤルホストでステーキを食べている人が増えてきたって、おっしゃっていましたね。

藤野その意味では、消費の「キラーパス」は通ったということです。

中野 でも、データを見ると、相変わらず何があっても預金だけは取り崩さないという人が多いんですよね。

渋澤 ここのパスを早く通さないと足元が崩れる、そんな印象を受けるね。

中野 確かに、コントロールが難しいのは事実でしょう。ただ、この手の量的緩和は日銀オリジナルではなく、もともとは米国FRBのQE(量的緩和)にあるわけでしょ。2008年のリーマンショック後からの需要創造に向けた経済活動の下支え効果が、ここにきて米国景気の回復に明確な成果を上げていますね。

「上に政策」あれば、すぐ動く米国人、動かない日本人

渋澤 でも今回の、日本のレベルは前例がないでしょ。金融緩和の規模や方法のいずれにしても、今まで主要国の中央銀行がやったことのない、前人未到の世界に入ったと思います。それと、米国の場合、こんなバズーカ砲を打たれたら、速攻で人々は次のアクションを取るのだけれども、日本人はなかなか動かない。だから、とにかく能動的に動かないとね。

藤野 どこか他人事なんだよね。草食投資隊として3年間、いろいろなところを回って話をしてきたけれども、「もう日本はダメだから」という人がたくさんいましたよね。日本は沈没するといったことが書かれている本を山のように読んで、もうどうにもならないとあきらめている人が大勢いる。

麻生太郎財務相が言うように、まさに「日本の芯が腐ってきた」わけです。だから、自分たちで何とかするという気持ちを持つことが大事。

中野 アベノミクス効果があるのは夏の参院選まで、などと言っている人が大勢いる。このように、皆が他人事だと、せっかくの黒田バズーカも息切れしてしまいますから、僕らも含めて日本国民が自らアクションを起こすという気持ちを持つことが大事だと思います。

藤野 ナローパスをインターセプトするのは、結局のところ国民自身かもしれませんよ。

渋澤結論を急ぐつもりはないけれども、黒田バズーカって時間稼ぎなんだよ。だから、その効果が切れる前に、何とか実体のある成長軌道に乗せていかなければならない。

藤野 カンフル剤を打つ必要があったのは事実だけれども、本来1本も打てば十分なところを10本打ったというのが黒田バズーカだから、下手をすれば心臓が潰れるかもしれない。

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