要注意!密かに増えている子どもの「高血圧」

「自分の子は大丈夫」と侮るな

血圧は、心臓から送り出される血流と、血流に対する動脈の抵抗のバランスによって決まる。動脈の抵抗が大きいほど、心臓は酸素をたっぷり含んだ血を脳や体の隅々に送るために懸命に働かなくてはならない。このため子どもの高血圧を放置すると、心室が肥大化してしまう。

この「左心室肥大」と呼ばれる症状は、「高血圧症の子どもの場合、数年でなりうる」と、ラオは指摘する。「しかし高血圧との診断が下され、管理下に置かれれば、心室の肥大化は退縮する。一方、放置すれば悪化」して、最終的には心不全になりうる。左心室肥大のほかにも、高血圧はアテローム性動脈硬化症を引き起こす可能性がある。

生活習慣の見直しが治療の一歩

子どもの高血圧の治療は、根本的な原因を特定してその改善を促すことが重要だ。根本的な原因には、肥満のほかさまざまな腎臓疾患、肺疾患、心臓欠陥、ホルモン異常、閉塞性睡眠時無呼吸、遺伝性疾患、それに何らかの薬剤、市販薬や運動能力向上薬や栄養剤の使用がありうる。

過体重や肥満は、子どもの高血圧の最も多い原因だが、おそらく改善が最も難しい原因でもある。この場合、生活改善が最も望ましい治療法だが、すぐ挫折してしまいそうな「無理な目標を設定」するのではなく、「子どものリスクを少しずつ減らす中間的な目標を設定すること」が大切だとラオは言う。

具体的には、野菜、果物、繊維質、無脂肪乳製品を中心とする低カロリーダイエットの実践、食塩の摂取を減らすこと、定期的な運動(理想は毎日30〜60分の有酸素運動)、テレビやパソコンを使用する時間の制限、学業以外での着席活動を1日2時間以内とすること、などがある。

生活習慣を変えても血圧が高い場合、あるいは肥満など高血圧の根本原因が改善できない場合は、投薬を考えてもいいだろう。ライリーとブルームは、「安全で効果的で、子どもでも耐容性が高い」薬剤として、サイアザイド系利尿薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)、β遮断薬、カルシウムチャンネル遮断薬を挙げている。

(執筆:Jane E. Brody記者、翻訳:藤原朝子)

© 2016 New York Times News Service

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