冒険で体得した51%に懸ける決断力 モンベル会長 辰野勇

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私自身は、物事を決める力を、登山やアウトドアフィールドでの冒険の経験から身に付けることができたのではないかと思っています。もともと決断力があったからここまで生き残ってこられたのか、あるいは厳しい場面に追い込まれてきたから決断力がついたのか、それはわかりませんけどね。

成功確率51%ならリスクをとる

組織の長になれば、物事を決めなくてはいけません。係長や課長といった中間管理職には後ろがありますが、最終責任者であれば後ろはありません。自分の責任ですべてが決まっていくのです。

成功する確率が50%なら、これはばくちです。冒険ではない。成功する確率が51%で、1%でもうまくいく可能性が高いのであれば、リスクを取って実行する。これが冒険です。

もちろん、冒険というのは極めて個人的なことです。生きるのも死ぬのも、自分自身のリスクです。会社は多くの社員がかかわっているので、潰すわけにはいきません。その違いはあるかもしれません。

「決断」と「決裁」の違い

企業のマネジメントには、「決裁」と「決断」があります。

企業経営において経営者は数限りないハンコをつきます。これは決裁で、決断とは違います。決裁では、囲碁や将棋でいう「定石」を選ぶことが大事です。過去の経験を生かして、成功した方法を選ぶ。これが決裁です。

それに対して「決断」は、過去に経験がない中で将来を見据え、あえて困難な道を選ぶこともいとわないことです。わたし自身も、企業経営における決断は数えるほどしかありません。

「決断」ができるかというのが、経営者、リーダーにとって大事なのです。  

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