一歩踏み出した後は最善を尽くすのみ
登山家というのは実は怖がりで、用心深い。山に行く前に想像力を働かせ、先々に起こりうるあらゆる事態に対する準備をする。そのうえで、フィールドに一歩足を踏み出します。その先で何かが起こったとしても、ああすればよかったとか考えている余裕はありません。前を向いて最善を尽くすしかないのです。時間を戻すことはできないのですから。
アイガー北壁は1800メートルの垂直に近い壁で、他人から見ると、これを登ることは極めて困難に見えるでしょう。しかし、実際に登っている人間は手が伸びるところ、足が届くところを登ることを積み重ねていくだけ。1メートル登るのも、1800メートル登るのも、やっている動作は一緒です。
経営もこれと同じです。突然、1000人の会社のトップになれと言われて経験がなかったら、あたふたするかもしれませんけどね。3人でモンベルを立ち上げて、だんだん従業員が増え、売り上げも増えてきた。自分で作ってきた道の延長線上ですから、規模の大小があってもあまり変わりませんね。
自分で選んだ道に苦労はない
経営をしていく中で、苦労を感じたこともありません。登山でも何十キロも荷物を担いで、雪山では雪の中をのたうち回って山頂を目指します。なんてばかげたことをやっているのだろう、大変な苦労をしていると思われるかもしれませんが、本人は自分で選んでいる道ですから、それすらも楽しんでいるのです。
(撮影:ヒラオカスタジオ)
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