ソフトバンク孫社長「買収条件は見直さない」 米社買収の対抗馬を一蹴

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ソフトバンクは4月30日、都内で会見を開き2013年3月期決算を発表した。売上高は前期比5.5%増の3兆3783億円、営業利益は同10%増の7450億円と増収増益。ただ、昨年のように米国ヤフー関連の有価証券売却益がないため、当期純利益は同7.4%減の2894億円だった。

つながりやすさのアピールが奏功

ソフトバンクは米アップルの「iPhone5(アイフォーン5)」を軸として、携帯電話は毎月、純増数トップを走っており、通期では353万件の契約純増となった。孫正義社長は、昨年以降「プラチナバンド」基地局を計画前倒しで設置を進めてきたことなどで、最大の弱点だった電波状況が改善していると主張。最近では電波の改善をアピールするテレビCMの効果も大きく、3月には「つながりやすいというCMを見たからソフトバンクに乗り換えたという顧客も出てきている」という。そのほか、固定電話事業も堅調な推移となり、宮坂学社長の新体制1年目となったヤフー・ジャパンも、売上高、営業利益とも2ケタ増益で大きく貢献している。

続く14年3月期は、ソーシャルゲーム「パズル&ドラゴンズ」が大ヒット中のガンホー・オンライン・エンターテイメントが新たに連結化される。加えて、7月に買収完了を予定している米国携帯大手スプリント・ネクステルが最大の焦点となる。ソフトバンクは今回、業績予想を発表していないが、孫社長は通期の営業利益について「国内事業だけで1兆円以上となり、ドコモの8400億円を超える。連結でも9000億円を超えてドコモを抜くだろう」と宣言した。

また、4月中旬、米衛星放送大手のディッシュ・ネットワークがスプリント買収に名乗りを上げていることに関して、孫社長は英語によるプレゼンを披露。「ディッシュの提案はプラス面だけを強調したもの。資金調達についてコミットしておらず、モバイルのノウハウもない。資産査定もしていない」と指摘した。

また、「資金投入が遅れることで、その間に上位のAT&TやベライゾンにLTEネットワークで大きな差をつけられてしまう」とした。買収金額などの条件についても、「総合的に両社のシナジーを考慮すると、ソフトバンクはディッシュより優位な提案をしているため、見直す必要はない」と一蹴した。

(撮影:今井 康一)
 

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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