ランナーに大ヒットした機能性タイツの真実 その関節サポートでは「疲労回復」できない

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(出所)デサントスポーツ科学 Vol.37

このことから、研究論文では、下肢筋群の筋肉疲労の軽減や、心拍数の上昇抑制、炎症反応の抑制には、“弱圧が有効”だと結論付けています。

とにかくパツパツなら効果がありそうな気がしてしまいますが、強ければ良いというものではありません。言い換えれば「適圧」を筋肉に施すことが必要でしょう。実際、過度に圧力をかければ、動きに制限ができ、かえってダイナミックさが失われます。

疲労をとる最善策は「動くこと」

血液循環の話にも通じますが、疲労をとる最善策は「動くこと」です。筋肉痛も、痛みを恐れて動かさないとかえって悪化します。その意味でも、圧は強すぎず適切にしないといけません。

「適圧」が良いのは明白ですが、ここで問題になるのが「適圧は部位によって異なる」ということ。たとえばふくらはぎから太もも、ハムストリングスのような大きな筋肉まですべて同じ圧力をかけても意味がありません。筋肉の大きさや質によって、かけるべき適圧は異なってくるからです。ですので、機能性インナーも部位や箇所によって細かく圧力を変化させているものが理想です。

足の筋肉は、下から上に向かって太くなっていきます。ですから、細い筋肉には弱めの圧力をかけ、上へ行くに従って徐々に圧力を上げていくべきでしょう。目的はあくまで静脈弁を動かすこと。そのために筋肉に刺激を与えるのであり、細い筋肉に必要以上の圧力をかければマイナスになります。

さらにポイントとなるのが関節部分です。関節は骨と骨が接する箇所で、その“橋渡し”となる腱の働きで両方の骨を動かします。この腱には筋肉がほとんどありません。その腱に圧力をかけるのは無意味で、動きを制限してしまうだけです。なので、このポイントは圧力を弱めることが必要になります。こういった配慮のある機能性インナーが良いでしょう。

なお、テーピング理論による関節サポート系の商品は、こういった段階的な着圧が難しくなります。なぜなら、インナーのテーピング部分にはどうしても縫い目ができ、そこのテンションや圧力が強くなってしまうからです。縫い目を作る以上、圧力を細かくコントロールするのは難しいんですね。先ほど、「関節サポートと筋肉サポートの両立は構造上難しい」と言ったのは、このためです。

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