マックバカの体にはケチャップが流れている OB・丸山鉄二氏に聞く(上)

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最も特徴的なのが、関西と関東でのお客様のクレームです。関東の場合、クレームは本社に行くのが多いのですが、関西の場合は「俺はどうしても店長にひとこと言いたいんだ。頼むから店長に言わせてくれ」というお客様が多い。東京から来た店長がノイローゼになったくらいです。

クレーム対応は関西のほうが上手?

丸山鉄二(まるやま・てつじ)
ハートリンクカンパニー代表取締役 1959年生まれ。81年日本マクドナルド株式会社入社。96年トレーニングコンサルタント、2001年米国子会社統括責任者を経て、05年にペッカリイ株式会社に入社。同社が10年に民事再生法を申請したことを受け、ハートリンクカンパニーを設立し、現職。好きなハンバーガーはフィレオフィッシュ。「完璧なフィレオフィッシュを食べると、こんなに心まで温まる商品はない」

だからクレーム対応は関西のほうがしっかりしていました。クレームを受けた場合、お客様と争わないのがいちばん重要です。お客様の言葉を全部聞いた後で、でこちらの話をする。悪いことは悪かったと正直に謝ることも大切です。

ハンバーガー大学では最初は単にクレーム対応としていた研修講座も、途中で「カスタマーリカバリー」と名前が変わりました。背景にはクレームはお客様と自分たちをつないでくれる接点だという考え方があります。たとえばお客様から「コーヒーの量が少なかった」というクレームがあったとします。これが1次クレームです。そのときに店員が「お客様はウソをついている」と言ったら、お客様は「クレームはもういい。お前の対応が悪い」となります。この2次クレームは傷口を広げてしまう。まず1次クレームにうまく対応すれば、お客様との絆がもっと深めるきっかけとなります。何も言わずに次から来なくなる人ほど怖いものはない。だからエネルギーを使って文句を言ってくる人は大事にすべきだという考え方があります。

日本マクドナルドでは1990年代からすでにこうした研修があり、非常に重要視されていました。一般的にはマクドナルドはマニュアルがすごいという評価がありますが、本当にすごいのは「人」です。全世界のマクドナルドを挙げて人材教育に取り組んでいる。これが強さの秘密です。

(撮影:今井 康一)

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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