亜美:失礼だなぁそれ(笑)。私は長女なんだけど、溺愛されて甘やかさたのは事実。ただ、勉強にしても仕事にしてもそつなくこなすことはできるんだけど、突き抜けた才能がひとつもないというか。東大とか、この外資系企業とか、ロンドン転身とか、一般的に見たらいい経歴かもしれないけど、一般の目から見た、という枠の外を出られたためしがないというか。
そして、30代前半で結婚して、でもあまり旦那を愛してないことに気づいて、最近、離婚も経験して……。この離婚が世間で言うところの路線から初めて外れた経験というか。
ムーギー:あなたは離婚したのか。最近、私は東洋経済で“エリートは結婚も早いが離婚も早い”というコラムを書いたのだが、結構人気があった。
亜美:あれ、私も読んだんだけど、すごく笑えた。
ムーギー:あなたは笑っている場合ではない。あなたが離婚した理由は何か。
亜美:思えば、そもそも全然好みじゃなかったかも。でもそつなくこなすのが私の子供の頃からの性格だから、どんなに仕事が忙しくても家庭と仕事を両立させるのに必死になっていて、ストレスがすごくたまってた。
ムーギー:離婚の決まり手は何だったのか。相撲の取り組みみたいな用語で恐縮だが。
亜美:いちばんテンぱってるときに、私を全然理解してくれないというか、気配りが全然ないというか。
仕事でも、ロンドンで部下は皆私より一回りも二回りも年上の男性だったんだけど、彼らが休暇を申請したり、仕事を途中のままで帰宅したり、家族の用事で仕事できないときとかも私一人で引き受けて深夜3時までとか働いて。
そして疲れて一睡もしない状態で旦那の朝食を作って倒れるように寝込んだんだけど、ある日、旦那に1週間分の私がつくったご飯の写真を見せられて「毎日おかずの色が変わってないんだけど、同じのばかり作ってるよね?」と文句を言われて。
ムーギー:それは腹立つな。女性が大変なときに優しく守ってあげるのが、役立たずの男性ができる数少ない役割のひとつなのに。
亜美:そして私が留学するときも「仕事をやめて給料は出ない、家賃も俺が全額払っている、ご飯もろくなもの作ってくれない。いい加減にしろよ、このブスが!」と言われて。仕事との両立でいっぱいいっぱいだったのに、それでも旦那のご飯はちゃんと作らなきゃ、と自分なりに頑張ってきたのに、いちばんテンぱってるときにこんなこと言われて、それですぐスーツケース持って出て行ったの。
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