しかし、わたしは監督として、ぶれることはしませんでした。残り2試合ありましたし、シリアもその後の試合で勝ち続けることができるとは限りません。その意味で、我々自身が残り2試合をどう戦うかが大事でしたし、監督である自分が、それまでと同じようにしっかりと準備し、自信を持ってピッチに選手を送り出すことが大事だと思いました。
また、選手自身も、権田修一、永井謙佑ら年長のメンバーがU―20代表での世界大会のアジア予選に負けてしまった経験を生かして、次のマレーシア戦に集まったときにはモチベーションを高めてきてくれました。
その意味では、シリア戦の敗戦によって、選手たちの自主性、チームとしてのまとまりをより強固に築き上げることができたと感じました。
スタイルと勝利の狭間で
わたし自身が監督として感じたのは、実戦のなかでチームのスタイルを発揮できるのは本当に実力のあるチームだけだということです。
アジア予選とオリンピックの本戦で、基本的にはチームの方向性や考え方は変えていません。
しかし、相手チームとの力関係で、どこが勝敗のポイントになるかを考え、それにあわせた戦い方をしなくてはいけません。アジアでは相手チームがどちらかというと自陣にひいてプレーしてくれますが、世界ではそうではありません。
個々の力、チーム力がゲームの中ではでてきますから、基本的な考え方、チーム作りは変えずに、オリンピック直前のトゥーロン国際大会で感じた世界との違いから、オリンピックで勝ち点をとるためにはチームに足りない要素を加えなくてはいけないということは考えました。
たとえば、相手ボールになったときに相手のリズムをつくらせないため、守備のアプローチを早くすること。そして、相手ボールを奪ったら素早く攻めることです。オリンピック本戦に挑むに当たって、この2点を特に意識したチーム作りをしました。
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