「行って見てくれ」というのが早いのだが、そうもいくまい。ここは文化人をひきあいに出した方が伝わるかもしれない。私が社長のAMJは前出の通りレアメタル取引が主体なので、在東京キューバ大使館とも友好関係が長い。ありがたいことに、キューバから要人が訪日する時は、いつもVIPとして歓迎式に招待されている。
実は、世界的なデザイナーであるコシノジュンコさんとも、去年の大使館主催のパーティーで偶然会った。以来、ご自宅に招かれるなどお付き合いをさせて頂いているのだが、彼女こそ正真正銘のキューバファンだ。
キューバのダンスは、「だんじり祭り」に通じる
1996年に「世界のコシノジュンコ」がハバナに居たことはご存じだろうか。彼女は経済制裁に苦しむキューバで外国人デザイナーとして初めてのファッションショーを、ハバナの高級ナイトクラブ「トロピカーナ」で開いたのである。
以来、彼女は定期的にキューバを訪れ、毎年のように東京でもキューバをモチーフにしたパーティーを開催しているが、興味を持ったきっかけは村上龍さんからの紹介だったという。やはりそうだったのかと合点がいった。村上龍さんはその著作などで日本とは対極にあるようなキューバの魅力にふれており、キューバ音楽のプロデュースなどでも知られている。
私もテレビ東京の「カンブリア宮殿」に出演させていただいた時に、村上さんとキューバの話題で相当盛り上がった。「カンブリア同窓会」のパーティーでは、キューバから来た数十名のダンサーやサルサバンドを呼んで、東京・六本木で「ドンチャン騒ぎ」をしたことまで思い出した。
ではなぜ、コシノさんは村上さんに紹介してもらって、ハマッたのか。
それはキューバが文化の特別な発信地だからだろう。彼女にとってのキューバンダンスやカーニバルは、故郷である大阪・岸和田の「だんじり祭り」(今年は9月17~18日に開催)に通じるものがある、というのだ。
ファッションは自由な発想が大切で、トータルで楽しまなければいけないものでもある。それをキューバは有しているというわけだ。コシノさんは日本のオリジナル文化をキューバのようなラテン文化にぶつけ続けていけば、日本の発信力が活かされ、文化面で世界のリーダーにだってなれる、と提唱しているのだ。
私の偏見かもしれないが、日本の文化の旗手たちは今や米国の行き過ぎたコマーシャリズムやカネまみれの文化、さらには何かと言うと、すぐに経済制裁をちらつかせる態度にも飽き飽きしているようにみえる。
かつてコシノさんはコンゴのファッショングループ「サプール」の「今はアフリカでもケンカは嫌だ。何故なら服が汚れるから」との言葉を借りて、「オシャレをするのは、一番戦争から遠いものなんじゃないかと思う」と語っている。
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