日本はもっともっとキューバと仲良くなれる

米国のことを過度に気にする必要はない

米国とキューバの国交回復はなったが、米国によるキューバへの経済制裁は人権問題などもあり、まだ解除されていない。今年の11月には米国でも新大統領が誕生する。制裁解除は法律変更が必要のだが、制裁解除にでもなれば、とてつもないキューバブームが訪れるのではないかと思う。

米国の経済制裁が解けるのは時間の問題

さて、その経済制裁の実態はどうなっているのであろうか。私は昨年も今年もキューバを訪問する機会があった。なんだかんだいっても、この数年は米国とキューバとの間は雪解けムードで、キューバへの経済制裁は実態面では急ピッチで解除されつつある、というのが私の印象だ。

キューバのニッケル公団のプジョル総裁(左)。旧交を温めつつ、話はトントン拍子に。米国の経済制裁は現場では緩んでいるところもある

わが社はキューバとのニッケル取引を長年行っているが、ハバナ訪問の際には昔からの友人であるオスカル・プジョル氏と面談する機会に恵まれた。実は10数年前、彼はオランダのロッテルダムでキューバのニッケル公団の駐在員だったのだが、今や総裁に就任していたのだ。

そんなこともあって今年のキューバとの取引は、トントン拍子に進んだ。人脈と言ってしまえばそれまでだが、私から言わせれば米国の経済制裁がかなり緩くなりつつあることを実感した瞬間でもあった。

というのも、20年ほど前、私はキューバの経済制裁と絡んで苦い経験をしたことがあるからだ。日本国内の某鉄鋼メーカーと、キューバのニッケルを輸入する長期の契約を交わしたのだが、後になって一方的にキャンセルを突き付けられたのである。

当時、そのメーカーは、米国と旧通産省に気がねをして、自主規制という名目で、ニッケル契約を全量キャンセルしてきたのだ。最終的には「キャンセル」の内容を見直すなどで決着、韓国企業に一部を転売することで大問題には発展しなかったものの、キューバへの経済制裁について、要は、日本は米国ににらまれるのが怖くて、結局は経済制裁を忠実に守っていたのだった。

米国がキューバに経済制裁をするときの根拠になっているのが、米国の悪名高き「ヘルムズ・バートン法」(1995年成立)である。人権が制限されているとみなした米国の、キューバへの制裁強化を目的とした法律だ。「米国はキューバを再び『属国』にできるか」でも触れたのでぜひお読みいただきたいが、これは米国の国内法を外国に適用するという意味で国際法違反だ。

実際、国連でも圧倒的多数を持ってキューバの意見への賛同表明が長年続いていた。当時でも欧州の企業などは、平たく言えば上手にこの法律の「網」を潜り抜けて貿易をしていたし、米国からの度重なる勧告があっても、平気で無視していた。だが、当時の日本政府は「触らぬ神にたたりなし」だから諦めなさい、との冷たい態度だった。

この悪法が、2015年春に米国とキューバと歴史的合意ができた結果、問題視されなくなった。それゆえ、私は経済制裁がなくなるのは時間の問題だと考える。全世界がすでに米国による経済制限の不当性を認めているわけだから、時代の方向性は、こうした古い経済制裁が遺物となって行く流れだと考える。

そうなると、安倍首相にはチャンスだ。最近の「安倍外交」は目覚ましい行動力と説得力を発揮していると、私は思う。米国の政権交代の隙を狙って、絶妙なタイミングで動き、それがオバマ大統領の不興を買っているとも言われるが、ここはキューバとの関係も深めたい。さらに言えばキューバを通じて、北朝鮮へさまざまな「アメとムチのシグナル」を送るはず、というのがビジネスマンとしての私の読みである。

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