中国が「韓流締め出し」にカジを切った理由 「恐中症」再燃で韓中の蜜月はいよいよ終焉か
中国は韓国の輸出全体で約25.4%を占め1位だが、品目の70~80%は電気機器や精密機器などの資本財や部品で、これらはメイドインチャイナに欠かせない。また、中国の輸出全体で韓国が占める割合は約4.3%と米国、香港、日本に次いで4位を占めており、経済的に互いが重要な顧客であり、これを毀損すれば中国も得にならないというわけだ。
9月9日に北朝鮮が行った5回目の核実験も韓中関係にさらなるつぶてを投じた。
中国は韓国のサード配備決定が北朝鮮の核実験を促したと報道し、韓国側はこれに猛烈な抗議を表明したが、サード配備に反対していた野党・国民の党所属のキーマン、安哲秀議員も「中国が北の核制裁を拒否するならばサードを配備する名分ができる」(朝鮮日報9月19日)と発言するなど、中国寄りといわれる野党に微妙な変化をもたらした。しかし、恐中症という感覚が消えたわけではないと別の全国紙記者が言う。
済州島で増加する中国人の犯罪
「もちろん、貿易で韓国と中国は相互依存関係で、経済報復は中国にとっても得策ではない。けれど、年間600万人の中国人観光客が訪れ、市場が潤う中で、観光渡航制限などされればその打撃、精神的なショックも大きい。今のところ目に見えた処置がないので、韓国はホッと胸をなで下ろしていますが、中国がいつその刃を振りかざすかはわからない。サード配備は来年と言われていて、中国はおそらくそれまで”機”を伺っているだけにすぎない。恐中症は韓国人の根底に薄皮のように張り付いています」
9月中旬、平和の島といわれる済州島で中国人観光客による通り魔殺人事件が起きた。聖堂にいた60代の女性が殺害された事件で、この前にも、持ち込みの酒を断られた中国人観光客が韓国人経営の食堂で暴行をはたらくなど、済州島での中国人による犯罪は2011年に58件だったのが昨年には4倍の260件に増加したという。
済州島は2002年に観光客を呼び込むためにノービザ制度を導入し、テロ支援国に指定された11カ国を除いた180カ国を対象としている。昨年は約63万人の観光客がノービザで訪れたが、中国人観光客はなんとその99%を占めている。済州島の観光産業関係者は、「昔は済州島の家では鍵を閉めたことなんてなかったのですが、今は違う。夜の散策もおちおち出かけられないという人も増えて、それでも中国人観光客で潤っている人も多く、痛しかゆしです」とため息をついた。
G2間でのバランス外交を標榜してきた韓国だが、サード配備決定によりそれはもろくも崩れてしまった。サード配備が現実化するとき、韓国は正念場を迎えることになるだろう。
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