中国が「韓流締め出し」にカジを切った理由 「恐中症」再燃で韓中の蜜月はいよいよ終焉か
中国の反応は素早いものだった。そのわずか1週間後には韓国製の携帯機器とポリエチレンの輸入を暫定的に中断させてしまう。慌てたのは韓国で、結局、その1カ月後には関税率を再び引き下げるというドタバタ劇を演じるはめになった。
ほかにも、韓国のオンラインゲームを輸入し、その技術を学んでいたはずの中国企業「テンセント」が今や世界最大のゲーム企業となり、韓国大手企業の大株主になるなど、韓国にしてみれば歯がみするようなケースは現在も進行形だ。
韓国が危機感を募らせる中、サード配備を巡る攻防で最初に現れた中国の”制裁”は韓流の締め出しだ。韓流スターのファンミーティングやコンサートを中止したり、新たな契約を禁止したりするなどの事態が続いた。
株価右肩下がりの芸能プロダクション
韓流の市場規模は2014年、世界で12兆5598億ウォン(約1兆1413億円、『2014年韓流の経済的効果に関する研究』大韓貿易投資振興公社ほか)といわれ、なかでも中国市場は最大規模だ。韓国の大手芸能プロダクションの株価も、サード配備発表以降、右肩下がりが続いている。
年間およそ600万人(2015年度、韓国観光公社)が訪韓する中国人観光客は通常ならば8月にはピークを迎えるが、サード配備発表後の翌8月には前月と比べて約4万人が減少したと伝えられた。これに伴い観光関連のホテルや観光客に人気の化粧品会社の株も下落し、「サード発中国消費株衝撃はこれから」(ネイル新聞、9月19日)といよいよ報復が始まったという声が出始めた。
その一方で、「中国が経済報復カードをまさぐるというが‥ 相互依存構造 貿易報復は自害‥相互共存外交に向かわなければ」(中央日報8月4日)、「中国メディアの礼を欠くサード報復論 サード報復は中国危機触発させる」(韓国経済新聞8月15日)「中国は敵か、友か――経済報復時は中国にブーメラン」(新東亜9月号)と中国の動きを牽制するメディアも多い。
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