蓮舫民進党、船出から渦巻く不平不満の惨状 執行部人事は党内融和とは程遠いものに
蓮舫氏の裏切り行為が明らかになると、赤松氏は激怒し、常任顧問就任の申し出を断っている。委任状も出さずに両院議員総会を欠席したということは、怒りがそれだけ激しいのだろう。
蓮舫氏と代表選を闘った前原氏も、赤松氏と同じく常任顧問のポストを早々と蹴っている。ただしその動機は赤松氏と異なる。前原氏が狙うのは「ポスト蓮舫」。近々、蓮舫体制は立ち行かなくなると踏んでいるのだ。
理由は秋口から囁かれ始めた早期解散説。最も有力なのは「年明け解散・2月選挙」で、立ち行かなくなった蓮舫体制の代わりに「前原待望論」が出てくると見ている。その時に備えてフリーハンドでいたいのである。
しかも「常任顧問」のポストは、これからも党内で活躍したいと思う者には、さほどありがたいものではない。このポストに就任したのは岡田克也前代表だが、岡田氏は9月8日の最後の代表会見で「これからは夫婦で犬を連れて散歩したい」と語っており、その立場はいわば"隠居用"のようなものといえる。党内外で実権を行使できるというものでもなく、蹴ったとしても惜しくはない。
若手の取り込みには成功
もっとも2名の年長者を祭り上げることには失敗した蓮舫氏だが、若手の取り込みには一応の成功を見せた。代表選に出馬した玉木雄一郎前国対副委員長には幹事長代理、前原陣営に付いた山尾志桜里前政調会長には国民運動局長のポストを与えている。玉木氏は昇格だが、山尾氏にとっては降格人事というところがミソだ。ちなみに山尾氏が「保育園落ちた日本死ね!!!」のブログを国会で取り上げて有名になり、岡田前代表によって政調会長に抜擢された時、蓮舫氏はライバル心をむき出しにしたと言われている。
このようにしてとりあえず、蓮舫体制は発足したわけだが、困難は内部に限らず、その行く手も厳しい。まずは10月23日に行われる衆院補選だが、東京10区と福岡6区で民進党が擁立した候補の情勢が思わしくないのだ。とりわけ東京10区では、補選1カ月前に「候補者すげ替え」の要望が出されるという事態になっている。
その責任を負うのが、選対委員長に任命された馬淵澄夫元国交相だ。21日の会見で馬淵氏は2012年に民主党が下野して以来、選対委員長や特命副幹事長として選挙実務に取り組んできた実績を強調した。しかし馬淵氏のおひざ元である奈良県では、民進党は7月の参院選で現職が敗退し、国会議員は馬淵氏のみという現状だ。
馬淵氏は選対委員長就任直後、さっそく東京10区の鈴木庸介候補と面会して事情を聴いたが、有効な打開策は打ち出しにくい。鈴木氏の対抗馬の若狭勝衆院議員はすでに小池百合子東京都知事との2面ポスターを選挙区内に貼りだしており、21日には自民党から公認も得ている。
「いつか幸せの時がきたら、いつか平時になったら、蓮の花の船をいくつもいくつも繋いでいけるように」。15日の代表選では、蓮舫氏は祖母が付けてくれた名前の由来をこう語っている。その蓮舫氏が率いる民進党に“幸せの時”は来るのだろうか。離れてしまった国民の信頼はいつ戻るのだろうか。ちなみに蓮の花言葉は「離れゆく愛」というらしい。
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