死に瀕した人の「頭部移植」は正当化できるか 「初の患者」をモルモットにしないための要件

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まるでSFの世界の話のように思われるかもしれないが、この問題は現在、着々と現実化しつつある。

手術地が中国なのか、ドイツなのか、また、被験者がロシア人なのか、中国人なのかなど、情報が統一されてはいないが、2017年の末に、イタリア・トリノ大学のセルジオ・カナヴエロ医学博士らが世界初の「頭部移植手術」を施行することで準備を進めているというのだ。セルジオ博士によれば、この難手術には150人ほどの医師を含む医療従事者が関わり、手術時間は36時間、費用は日本円にして約12億5000万円かかるという。

何とも壮大な計画であり、一般の感覚からはただちに受け入れられない話かもしれない。それは講義を受けた受験生とて同じだろう。問題に対する受験生の反応の多くも、手術に対し肯定的なものとは言えなかった。

死をひたすら待つことよりは「まし」?

特に興味深かったのは、以下のような意見が出されたことである。

「脳死者の正常に機能する体に、別人の機能している頭だけをくっつけたら、一体その複合体は誰になるのか」

「まず、マウスやサルなど動物実験で成果がでているのかが決定的に問題だ。また、成果が出ていたとしてそれはヒトに転用できるのか」

「この患者が死に瀕しており、ただ死を待つだけだとしたら、頭部移植手術は何もしないで死をひたすら待つことよりはましなのではないか」

20歳前後の若者の意見としては、どれもかなり的を射ていると思う。頭部移植手術が正当化されるか否かを考える上で重要な論点は、やはり2番、3番の指摘にどう答えるかに集約されるからである。

1番の疑問は、よく質問を受けるが、脳、殊に大脳機能の主体を重視する必要があリ、見解は概ね一致しているだろう。中枢神経の主体がヒトの主体性を特徴づけるのであれば、頭部の主が主体と考えられるからだ。

さて、それでは2番、3番の指摘について考察を深めながら、「頭部移植手術」の正当化の是非について、じっくり考えていきたい。

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